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Rouge et noir - 1 -



「あやめ先輩、今日こそ一本獲ってみせますからね」
「真琴、まだヤル気なの 部活で散々練習したとこじゃない」
「まだまだです。 これからウチに少年剣士がわんさと押し寄せて来るし
 先輩、今日も手伝って下さいね。勝負はその後でいいですから」
「だから、なぎなたの私がどうして剣道を教えなきゃいけないのよ」
「何言ってるんですか、あやめ先輩 剣道出身じゃないですか。 しかも、僕より段位上だし
 先輩は僕の目標だったんですよ。なのに大学入ったら、なぎなたに転向しちゃうんだもん。
 ずるいですよ、勝ち逃げなんて卑怯です。絶対に許しませんから」
「はいはい、申し訳ございませんでした。喜んであなたとの勝負お受け致します」
某女子大のなぎなた部に籍をおく榊山あやめと同大学付属高校剣道部に籍をおく春日真琴。
二人は幼馴染で歳はあやめの方が三つ上、真琴はあやめを姉のように慕っており
あやめも真琴を妹のように可愛がっていた。

あやめの大学進学が決まると真琴はあやめが行くことになった
大学の付属高校をあやめには内緒で受験し見事合格していた。
そして、あやめは真琴の粋な計らいで真琴が下宿する
彼女の祖父が開く剣道場に真琴と一緒に下宿するハメになってしまった。

「どうして真琴は私に勝ちたいの?」
「どうして勝ちたいの? ですと、言ってくれますね あやめ先輩
 無敗の余裕ですか。 わたしが先輩に勝負を挑むのは…」
「挑むのは?」
「自分より強い者に勝負を挑み、それを乗り越えて行く。 それが私の武士道だからです!」
「………はいはい」

二人が訳のわからない会話をしながら工事現場を覆っている壁の横を通り過ぎようとしたとき
黒い影が壁を突き破り、彼女たちの前で瓦礫の下敷きになった。
「イッテー……愛流、ちゃんとフォローしなよ!!」
鉄パイプや鉄板の下から黒に緑をあしらったスーツを身に着けた少女が
腕を押さえながら立ち上がり、仲間と思われる人物を叱咤すると
壁の向こうから関西弁で答える声がかえってきた。
「ちょっと待ち言うたのに或徒ちゃんが行くからや!」
「るっさい!! 愛流がとろいから…」
視界の端に映った人影に或徒の言葉が止まり、視線だけをゆっくりとその人影に移した。
「あの、大丈夫ですか? ケガしたんじゃないですか?」
「な、なになに、喧嘩? え? 変な格好…え? 撮影か何かやってるの?」
≪おい、栗栖、民間人がいる。二人だ≫
或徒はサイコキネシス能力を使い、栗栖と愛流に二人の存在を伝える。
≪今はシルヴィーを抑えるほうが優先よ。 そっちはバックアップに任せましょう≫
≪ああ。 もう一度、フィックスフォーメーションβだ!! 愛流しっかりやれよ≫
≪悪いのはウチとちゃう、或徒ちゃんや!!≫
自分たちの方を横目で睨んだかと思うと穴の開いた壁の中に飛び込んで行く少女に
真琴が口を尖らせてあやめに訴える。
「感じワルぅ~ シカトだよ、シカト!」
「真琴、怒らないの。 やっぱり映画かテレビの撮影かな?」
あやめが穴の開いた壁に近づきそっと中を覗き込むと、悲鳴と共に建設途中の建物から土煙が上がった。
「真琴 少しヘンだよ。 カメラとか全然ないし、それに…… さっきのコより変な格好した人がいる」
「えっ、なになに、どこどこ、   ウソ、何あれ……カッコいい…」
二人が見やる視線の先には露出度の高いシルバーのアーマーで身を固め
両刃の剣を手にした女性が髪をなびかせ、土煙に向かって歩いて行く姿があった。
「って、あやめ先輩、あれ…何ですか? すっごくヤバイ空気を感じますけど」
「そうね、さっきのコ、腕をケガしたみたいだったし、助けに行ったほうがいいかも」
「ううん… 先輩、僕、震えてる…」
「怖いの? だったらココに居ていいよ」
「違います!! あの銀色の人、とっても強そうじゃないですか。 僕の中で武士としての魂が…」
「冗談言ってる場合じゃないわよ」
あやめが壁に立てかけてあった鉄パイプの中から自分に合った長さのモノを手に取り走りだすと
真琴も同じように適当な長さの鉄パイプを取りあやめの後を追った。


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