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Awakening to darkness -潜伏-



バスターベースに戻った麻由美は監察室に軟禁されていた。

バスターズ管理責任者吉村ひとみが携帯フォンで医療スタッフ南鮎美から麻由美の検査報告を受けていた。
≪洗脳ウィルスが確認されましたが、ワクチン投与で抑制できそうなので問題はありません。それと
 微かですが脳波の乱れも確認されましたが、承認プログラムで麻由美さんである事が確認されています。
 あとは…赤いスーツを何とかしないと……≫
<<そうですか。ありがとう、鮎美さん。ご苦労様>>
「ごめんなさい、麻由美さん。無事に戻って来れたのに不愉快な思いをさせてしまって」
「気にしないで下さい……それに私の中に洗脳ウィルスがあるってことは…」
「そんなこと心配しなくていいの。洗脳ウィルスはワクチン投与で抑制できるわ、今のところ
 他に異常は見つかってないわ。念のため、もう少し詳しく調べてみるけど大丈夫よ。
 ただ、問題なのは麻由美さんが着せられているそのスーツね」
「あ、はい…わたしにもどうしていいのか……」
ひとみの後ろに立ち麻由美の様子を窺っていた美幸が口を開く。
「麻由美、『ウィルス』に捕らえられていた時のこと聞かせてもらえる?」
「美幸さん、それは明日でも……今日は麻由美さんも疲れて…」ひとみが美幸を見やった。
「…いえ、お話します」麻由美はひとみをみつめて小さく呟いた。

「ニムダとの戦いの後、私は意識を失っていました。
 私が意識を取り戻したのは『ウィルス』の前線基地に運び込まれ傷の手当を受けた後でした。
 私を助けたのは『ウィルス』の新しい幹部…クレズ。
 彼女が私を助けた目的はニムダを倒した私を自分の部下にする為。
 クレズは私にバスターズを裏切り『ウィルス』の一員になるよう強要してきました。
 もちろん、私は拒絶しました。例え、洗脳ウィルスに感染させられても抗体が無力化してくれる。
 抗体のことに気付かれないよう洗脳されたフリをしていれば何とかなると思っていました。でも
 洗脳ウィルスに感染させられてからの私は……私の心は不安と恐怖に支配されて行きました。
 絶え間なく洗脳ウィルスを与えられて……私は…私はウィルスの虜にされていたんです。
 頭では拒絶しているのに身体はウィルスを求めそれを受け入れる。いつの間にか
 ウィルスを受け入れることは『気持ち良い』『素晴らしい』と思うようになっていました。そして
 『ウィルス』に心を支配されることを望んでいる自分に気付いた時にはクレズの前に跪き忠誠を…
 それからあとのことは何も……」
「そして、気が付いた時には鉄平と戦っていた……て事ね」
「…はい」
「あなたたちは身体にある抗体で洗脳ウィルスに支配されることはない筈なのに…
 もう一度、洗脳ウィルスのことを詳しく調べて見る必要がありそうね。
 麻由美さん、もう一つ質問していいかしら。希さんと春香さんのこと何だけど」
ひとみは麻由美の捜索中に行方不明になっている2人のことを尋ねた。
「…希さんと春香……どうかしたんですか?」
「2人はウィルス基地の調査中に行方不明になって連絡が途絶えたままなの。
 もしかしたらと思って……ごめんなさい。今日はこれ位にして続きは明日にしましょう」
「そうなんですか…………あ、あの…泉水ちゃんの具合は…」
「……そうね…麻由美さんの意見も訊かせてもらったほうがいいのかも…」
「麻由美、泉水は深刻な状態よ。私も『交流』を試みて看たけど効果がないの」
「い、泉水ちゃんに…会わせて…もらえないですか」
「本当なら麻由美に『交流』を頼みたいところだけど……今、麻由美を泉水に近づける訳には行かない。
 今の麻由美は……信用出来ない。麻由美が『ウィルス』のスパイにされていることも考えられるから…
 だから、泉水を助ける方法は『初期化』以外にないと私は考えているの」
「美幸さん、信用出来ないって……あなた…麻由美さんも泉水ちゃんも大切な仲間なのよ」
「吉村博士、私は疑念を抱いたまま戦うなんて事できません」
「…しょ、初期…化…」
「ま、まさか……麻由美さんも、泉水ちゃんの『初期化』に賛成…なの」
「いいえ、違います…『初期化』には……」
「麻由美、あなたも反対なのね」
「当たり前でしょ。『初期化』なんて言葉を使っても遣っている事はただの記憶操作、洗脳なのよ。
 私たちに都合が良いようにあの子の記憶を書き換えてしまうだけなのよ」
椅子に座っていたひとみが立ち上がり美幸を睨みつけた。
「吉村博士、元はと言えば博士が泉水を助ける為と言って『初期化』を……それを今になって…
 今、博士は麻由美と泉水を仲間だと仰いましたが、泉水がこのまま『ウィルス』になってしまったら
 どうするおつもりですか。私たちに仲間の泉水を討てと仰るのですか? それとも泉水に討たれろと…」
「そんなこと……私はただ…これ以上…あの娘の記憶を……」
「博士、このままだと泉水が忌まわしい記憶を思い出し、私たちの敵になるのは間違いありません。
 もう一度、冷静になって考えて下さい……それに………仲間を思う気持ちは私も博士と同じです…
 泉水を助けたいんです……麻由美を信用したいんです」
そう言い残すと美幸は足早に部屋から立ち去った。
「み、美幸…さん……」
「麻由美さん、美幸さんの言った事は気にしないで今日はゆっくり休みなさい。
 本当にあなたが無事で良かったわ」そう言い残すとひとみも監察室から出て行った。

独りになった麻由美がベッドに腰を下ろし両手で顔を覆う。
(くくく、面白くなりそうね。先ずは『デュマル』を助け出しその後でゆっくりとお礼をするわ。
 私とデュマルを可愛がってくれた『お礼』をね)


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