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Awakening to darkness -潜伏-



バスターベースに戻った麻由美は監察室に軟禁されていた。

バスターズ管理責任者吉村ひとみが携帯フォンで医療スタッフ南鮎美から麻由美の検査報告を受けていた。
≪洗脳ウィルスが確認されましたが、ワクチン投与で抑制できそうなので問題はありません。それと
 微かですが脳波の乱れも確認されましたが、承認プログラムで麻由美さんである事が確認されています。
 あとは…赤いスーツを何とかしないと……≫
<<そうですか。ありがとう、鮎美さん。ご苦労様>>
「ごめんなさい、麻由美さん。無事に戻って来れたのに不愉快な思いをさせてしまって」
「気にしないで下さい……それに私の中に洗脳ウィルスがあるってことは…」
「そんなこと心配しなくていいの。洗脳ウィルスはワクチン投与で抑制できるわ、今のところ
 他に異常は見つかってないわ。念のため、もう少し詳しく調べてみるけど大丈夫よ。
 ただ、問題なのは麻由美さんが着せられているそのスーツね」
「あ、はい…わたしにもどうしていいのか……」
ひとみの後ろに立ち麻由美の様子を窺っていた美幸が口を開く。
「麻由美、『ウィルス』に捕らえられていた時のこと聞かせてもらえる?」
「美幸さん、それは明日でも……今日は麻由美さんも疲れて…」ひとみが美幸を見やった。
「…いえ、お話します」麻由美はひとみをみつめて小さく呟いた。

「ニムダとの戦いの後、私は意識を失っていました。
 私が意識を取り戻したのは『ウィルス』の前線基地に運び込まれ傷の手当を受けた後でした。
 私を助けたのは『ウィルス』の新しい幹部…クレズ。
 彼女が私を助けた目的はニムダを倒した私を自分の部下にする為。
 クレズは私にバスターズを裏切り『ウィルス』の一員になるよう強要してきました。
 もちろん、私は拒絶しました。例え、洗脳ウィルスに感染させられても抗体が無力化してくれる。
 抗体のことに気付かれないよう洗脳されたフリをしていれば何とかなると思っていました。でも
 洗脳ウィルスに感染させられてからの私は……私の心は不安と恐怖に支配されて行きました。
 絶え間なく洗脳ウィルスを与えられて……私は…私はウィルスの虜にされていたんです。
 頭では拒絶しているのに身体はウィルスを求めそれを受け入れる。いつの間にか
 ウィルスを受け入れることは『気持ち良い』『素晴らしい』と思うようになっていました。そして
 『ウィルス』に心を支配されることを望んでいる自分に気付いた時にはクレズの前に跪き忠誠を…
 それからあとのことは何も……」
「そして、気が付いた時には鉄平と戦っていた……て事ね」
「…はい」
「あなたたちは身体にある抗体で洗脳ウィルスに支配されることはない筈なのに…
 もう一度、洗脳ウィルスのことを詳しく調べて見る必要がありそうね。
 麻由美さん、もう一つ質問していいかしら。希さんと春香さんのこと何だけど」
ひとみは麻由美の捜索中に行方不明になっている2人のことを尋ねた。
「…希さんと春香……どうかしたんですか?」
「2人はウィルス基地の調査中に行方不明になって連絡が途絶えたままなの。
 もしかしたらと思って……ごめんなさい。今日はこれ位にして続きは明日にしましょう」
「そうなんですか…………あ、あの…泉水ちゃんの具合は…」
「……そうね…麻由美さんの意見も訊かせてもらったほうがいいのかも…」
「麻由美、泉水は深刻な状態よ。私も『交流』を試みて看たけど効果がないの」
「い、泉水ちゃんに…会わせて…もらえないですか」
「本当なら麻由美に『交流』を頼みたいところだけど……今、麻由美を泉水に近づける訳には行かない。
 今の麻由美は……信用出来ない。麻由美が『ウィルス』のスパイにされていることも考えられるから…
 だから、泉水を助ける方法は『初期化』以外にないと私は考えているの」
「美幸さん、信用出来ないって……あなた…麻由美さんも泉水ちゃんも大切な仲間なのよ」
「吉村博士、私は疑念を抱いたまま戦うなんて事できません」
「…しょ、初期…化…」
「ま、まさか……麻由美さんも、泉水ちゃんの『初期化』に賛成…なの」
「いいえ、違います…『初期化』には……」
「麻由美、あなたも反対なのね」
「当たり前でしょ。『初期化』なんて言葉を使っても遣っている事はただの記憶操作、洗脳なのよ。
 私たちに都合が良いようにあの子の記憶を書き換えてしまうだけなのよ」
椅子に座っていたひとみが立ち上がり美幸を睨みつけた。
「吉村博士、元はと言えば博士が泉水を助ける為と言って『初期化』を……それを今になって…
 今、博士は麻由美と泉水を仲間だと仰いましたが、泉水がこのまま『ウィルス』になってしまったら
 どうするおつもりですか。私たちに仲間の泉水を討てと仰るのですか? それとも泉水に討たれろと…」
「そんなこと……私はただ…これ以上…あの娘の記憶を……」
「博士、このままだと泉水が忌まわしい記憶を思い出し、私たちの敵になるのは間違いありません。
 もう一度、冷静になって考えて下さい……それに………仲間を思う気持ちは私も博士と同じです…
 泉水を助けたいんです……麻由美を信用したいんです」
そう言い残すと美幸は足早に部屋から立ち去った。
「み、美幸…さん……」
「麻由美さん、美幸さんの言った事は気にしないで今日はゆっくり休みなさい。
 本当にあなたが無事で良かったわ」そう言い残すとひとみも監察室から出て行った。

独りになった麻由美がベッドに腰を下ろし両手で顔を覆う。
(くくく、面白くなりそうね。先ずは『デュマル』を助け出しその後でゆっくりとお礼をするわ。
 私とデュマルを可愛がってくれた『お礼』をね)


Awakening to darkness -帰還-



「泉水、元気ないね。どうかしたの?」
校舎の屋上で座っていた泉水に級友の友里と弥生が声をかける。
「そんなことないよ…元気だよ…」
「暗~い、やっぱり元気ないじゃん」
「悩み事なら相談に乗りますぜ。あっし達に話してみな」
「だから、元気だって」
「じゃあ、元気な顔してよ。おぬしの顔見るの久しぶりなんだからさぁ。って
 チャイムが鳴りやがったか。ほんじゃ体育館に行こっか」
「体育館?」
「そう。今日から新任の先生が来るとかで、朝から体育館に集合なんだって。こんなの初めてだよ」
「さぁ、立って立って。行くよ、泉水」2人が泉水の手を取り駆け出した。

「あぁ~あ、もう始まっちゃってるよ。こっそり入るしかないか」
そう言いながら扉を開けて足を踏み入れた友里が声をあげた。
「おやぁ?」
「友里、どうしたの、早く行ってよ」
入り口で立ち止まっている友里の背中を押して、弥生も中に入っていた。
「あれれ? 誰も居ないじゃん」
「いやぁ、居るには居るんだよ。ほれ、あれ」
友里が壇上の人影を指差しながら弥生を見やった。
「何かのコスプレかな……女王様?…って言うかなんで?」
「友里ちゃん、どうしたの?」
最後に入ってきた泉水が友里の指差す方向を見やると、そこには奇怪な格好をした女性と白い人型、そして
見慣れた黒い人型の姿があった。
(トロイ兵!!……『ウィルス』が何でまた……それに…白いのとあの人は……)
「クレズ様、あの3人が最後のようです」
トロイ兵の1人、フォートナイトの報告にクレズは小さく頷いた。
(【トロイ兵養成計画】学校を隠れ蓑にしてトロイ兵を量産する…極秘裏にこんな作戦を…
 ここで養成したトロイ兵を使ってニムダは反旗を翻すつもりだったのね。でも
 この作戦が成功していたとしても、ニムダ、あなたの謀反は失敗に終わったでしょうね。
 あなたは知らなかったの。どんな事があってもトロイ兵はワーム総帥を裏切らない。
 私たちが私兵にできるのは『従者』。それも2人だけ。
 それ以上、従者を増やしても従者同士が殺し合い、最後に残るのは2人。
 それなのに謀反を……愚かな奴ね。『ウィルス』を裏切る。それは『死』を意味することなのよ。
 でも、私はあなたに感謝するわ。あなたのおかげで、私は素晴らしい力を手に入れることができた。
 私と同等の力を持つ、特別な従者『亜種』と『ウィルス』での揺ぎ無い地位をね)

「あれれ…なんか…へん……この香り……懐かしい…いい気持ち……」
「あの方の下に…行かなくちゃ……」
友里と弥生が引き寄せられるようにクレズのほうに向かって歩き出した。
「ゆ、友里ちゃん、弥生ちゃん、どうしたの」
歩き始めた2人を引き止めようと足を踏み出した泉水だったが、少し進んだところで腰が抜けたように
へたり込んでしまった。
(あれ…身体が…上手く動かないよ……あたし…震えてる…なんでよ…2人を助けなきゃダメなのに…)
「友里ちゃん、弥生ちゃん、逃げて……逃げなきゃダメだよ…」
2人は泉水の呼びかけにも反応せず、クレズの前に辿り着くと、恍惚と彼女を見詰め佇んでいるだけだった。
「フォートナイト、この2人を連れて先に戻りなさい」
「かしこまりました。クレズ様」
「基地に戻ったら、捕らえた人間の能力データの採取をお願いね」
「かしこまりました」
クレズの脇に立っていたフォートナイトは一礼すると2人を連れてその場を立ち去った。
「友里ちゃん、弥生ちゃん、行っちゃダメぇぇ」

「やはり、あなただけが残りましたね。はじめまして、桃山泉水さん。私はクレズ」
「クレズ……なんで…また…この学校に……」
「それはね、この学校のみなさんは『ウィルス』の支配を受けて、幸せな時間を過ごせたハズなのに、
 そのときのこと、すっかり忘れちゃったみたいで、なんだか可愛そうに思えて仕方がなかったの。
 だから『ウィルス』の素晴らしさを思い出してもらう為のお手伝いをしに来たのよ。
 確か、あなたはニムダから特別なモノをもらっているのよね。だったら、忘れたりしてないわよね」
「な、なに…言ってるの……やめてよ……」
「可愛い。怯えているの? その様子だと、忘れたくても忘れられないって感じね」
「や、やめ…て……」(に、逃げなきゃ………スーツを…装着…すれば…)
泉水は震える指先でブレスレットにあるスーツ装着キーを操作しピンクの強化スーツに身を包んだ。
「無駄よ、諦めなさい。今更、バスタースーツを身に着けても遅いわよ。直ぐに
 あなたもお友達と同じように『ウィルス』に支配されることを望むようになるわ」
「…もう…やめて……『ウィルス』になるのはイヤ……」
(だ、だめだ…動けない…動けないよ………だれか…たすけて…)
「ダメ。ニムダに可愛がってもらった時のこと、忘れた訳じゃないでしょ」
「し、知らない…ニムダのことなんて……知らないよ」
(知らない?…この娘………ウィルスの支配を受けたことは憶えているみたいなのに
 ニムダの従者にされたことは憶えてないの……そんなバカなことが……)
「あなた、ニムダの従者にされたこと…憶えていないの?」
「…し、知らない…知らないよぉ……怖い…助けて…みゆきさん…また……また…あたしじゃ…
 なくなっちゃう…へんになっちゃうよ……ウィルス…になんか…なりたくなぁい…いやぁ…
 いやだ…たすけて…まゆみさん…」
泉水は自分の膝を抱き抱え、背中を丸くして震えていた。
(…まさか…麻由美と黒田美幸に…………だとしたら、バスターズも面白いことするのね)
「可愛そうに…バスターズに過去の記憶を消されちゃったのね。でも、もう大丈夫よ。
 これからあなたに本当のあるじのこと……いえ、『ウィルス』の素晴らしさを思い出させてあげる」
「いや…いやだよ……思い出す…ことなんて…ない……うぅぅぅ…まゆみ…みゆき……はやく…して……
 じゃないと…あたし……」
「さあ、泉水、帰りましょう。ここではあなたの心を癒してあげることはできないのよ」
「い…いやだ……いきたくない………たすけて……まゆみ……たすけてよ……」
泉水の様子を黙って見ていた麻由美がクレズに問い掛けた。
「クレズ様、なぜですか。これはピンクバスター。我々の敵。私に止めを刺させて…」
「待ちなさい。フィザー。この娘は私たちの仲間、ニムダの従者『デュマル』。
 あなたと同じようにバスターズに偽りの記憶を植え付けられて働かされているだけなのよ」
「ま、まさか…私と……私だけでは無かったのですか………卑劣な……バスターズ…必ず、お前達を…」
(ふふふ。麻由美、あなたは完全に仕上がったようね)
「さて、用も済んだし、こんな所に長居は無用ね」
麻由美の反応に満足したクレズは、彼女の『従者』たちにそう促した。
「はい。クレズ様。スウェン、サーカム、『デュマル』を」
「かしこまりました」
ミメイルの従者が泉水を担ぎ上げようと彼女に近づいた。

「泉水に触るな!!」
レッドバスター赤井鉄平がブラスターで威嚇しながら姿を現した。
「あらあら、邪魔な人が来ちゃったわね」
「…た…たすけて……もう………あぐぅぅぅぅ…」
「い、泉水……直ぐに助けてやるからな。そこのコスプレ女ぁ、泉水に何しやがった!!」
「五月蝿い上に礼儀知らず。私の名前はクレズ。その悪い頭で覚えておきなさい」
「お前の名前なんかどうでもいいんだよ。泉水に何をした!!」
「無礼な。クレズ様、お任せを」
クレズは身構えるフィザーを片手で制した。
「うふふ。大事なことを思い出してもらってるだけよ。それより、あなた独りでこの娘を助けるつもり?」
「ああ。お前らなんか、俺、独りで充分だ」
「うふ。面白い人ね。でも、あなたの相手をしている暇はないの。今日のところは見逃してあげるわ
 そこで大人しくしてなさい。フィザー、帰りましょう」
「スウェン、サーカム、『デュマル』を」
「泉水に触るなって言ってんだろ!!」
泉水に近づく3人に、鉄平はブラスターを射掛けた。
(あっ! ミメイル)
「うぐぅ……何をするの…危ないじゃ…ないの…」
(…か、身体が…自然に……)
クレズ自身が楯となり、防御障壁で光弾からフィザーたちを護っていた。しかし
最初に放たれた一撃に防御障壁が間に合わず、右肩を打ち抜かれその場に膝をついた。
「ク、クレズ…様……」
「…私は大丈夫よ…あなたたち……大丈夫…ね……良かった……」
「…クレズ様……申し訳ありません……でも…どうして……」
「あなたたちは…私の大切な……」
(…クレズ…様……)
麻由美の心に激しい怒りとクレズへの思慕が交錯する。
「なんだなんだ、親分が子分の楯になるのかよ。全然、楽勝じゃねえか」
「黙れ!!……許さない。クレズ様を傷つけたこと、お前の命で償ってもらう」
フィザーは携えていた剣を抜き払い、鉄平の前に立ちはだかった。
「な、なに言ってんだ、こいつ。鬱陶しいんだよ、消えろ」
鉄平はフィザーの気迫に押されながらブラスターを射掛けていた。
「お前の力はそんなモノか? それとも、私を嘗めているのか……まぁいい、直ぐ、楽にしてやる」
フィザーは手にした剣で放たれた光弾を受け止めると剣を構え直し、切先を鉄平に向けた。
フィザーの顔の紋様が赤く輝き剣の先に赤い球体が生まれ大きさを増してゆく。
「残りの奴らが来ます。スウェン、サーカム、クレズ様を」
(…ほぼ予定通り…あとはミメイルに任せて……ミメイルに…任せて………ミメイル…)
「フィ、フィザー様は…」
(…ミメイル………ダメ……出来ない…あなた独りを行かせるなんて出来ない)
「…ダメ…ミメイル…あなたも一緒に……」
「……クレズ様、お任せください。スウェン、サーカム、行きなさい」
「かしこまりました。フィザー様」
クレズは2人の従者に支えられ足早にその場を後にした。

「鉄平、大丈夫?」
クレズと入れ違いに残りのバスターズが駆けつけた。
「助かったぁ。みんな来るの遅いよ」
「鉄平が単独で行動するから悪いんだよ」
「うるせー。じゃあ、校門で待ち合わせでもするのかよ」
「鉄平、泉水は?」
「美幸さん、泉水、あそこに居るんだけど……少し様子が変なんだ」
丸くなったまま動かない泉水を鉄平が指差した。
(泉水……まさか…)
「みんな、駄目よ。わたしがホントに『ウィルス』に洗脳されてたら………無事だったんだね…良かった…」
フィザーが切先の赤い球体を静め、剣を鞘に納めると身体を白い光が包み込む。
「なに言ってんだ…こい……つ…」
「早く、泉水ちゃんを助けてあげて」
白い光が収まるとそこには、赤い『羞人服』を纏った麻由美が立っていた。
「な、なんで…麻由美さんが…」
「ごめん……心配かけて…」
「ホントの麻由美サンなノ?」
「無事だったんですね、麻由美さん」
麻由美は微笑みながら小さく頷いた。
(…麻由美……)
「みんな待ちなさい」
麻由美に近づこうとするメンバーを美幸が遮っていた。
「なに言ってんの、美幸さん。だって、麻由美さんが…」
「こんな姿で現れたら、無理ないよね。でも今は、泉水ちゃんを…」
「淳、珍味、泉水をお願い」
「鉄平………麻由美を…拘束して」
「え、な、なんでだよ、なんで麻由美さんを拘束しなきゃ…」
「鉄平、黙って言うことを聞いて…私だって…」
いつもと違う美幸の様子に、鉄平は無言のまま麻由美に拘束具を取り付けた。


Awakening to darkness -固着-



(さっき…私のフォートナイトがこの娘に従属していた…いえ、私もミメイルに…私があるじなのに……
 この娘は従者のハズなのに…………ミメイルのことが…どうして……この感じ……前にも…)
「クレズ様、どうかされましたか?」
自室のソファーに腰掛け、接見の間での出来事を思い出していたクレズに麻由美が声をかけた。
「どうもしないわ、ミメイル。明日の作戦のことを少し考えていたの……あ、これ、あなた用のスーツよ」
クレズは紅い『帽子』を麻由美に差し出した。
「え、私にはクレズ様に戴いたフィザーと、このスーツがあります」
「ミメイル、フィザーはあなたを守る鎧。今、あなたが身に着けているスーツは『羞人服』。
 ウィルスに敵対する者にウィルスの素晴らしさを教えて心を入れ替えさせる為のモノ。
 あなたに『羞人服』を着せたのはウィルスのことを思い出してもらう為なの。
 だから、いつまでもそのスーツ姿じゃダメよ」
クレズが麻由美の胸にあるエンブレムに手を添えると、彼女の身体を覆っていた赤いスーツはエンブレムに
吸い込まれていった。
「さぁ、ミメイル、このスーツを」
「はい、クレズ様」
麻由美は与えられた『帽子』を素直に装着する。
『帽子』はゆっくりと麻由美の身体を紅く染めてゆく。
「あぁぁ…イィ……『羞人服』とは比べものに……」
全身を紅く染められた麻由美の顔に黒いウィルスの紋様が浮かび上がり、スーツの装着が完了した。
紅いトロイ兵になった麻由美は改めてクレズの前に跪き忠誠を誓う。
「助けて頂いたこの命、クレズ様に捧げます。何なりとご命令を」
「何を言うの…あなたは…私の…大切な………綺麗よ…ミメイル…」(…欲しい……)
朦朧とした瞳のクレズが麻由美をソファーに押し倒すと激しく唇を求めはじめる。
「クレズ…様……どう…され………むっ…くぅ」
麻由美の言葉をクレズの唇が奪う。
「ミメイル……あなたは私だけのモノ………あなたのウィルスも私だけの……」
クレズの激しい愛撫が麻由美を襲う。
「うくぅ…わたしは…クレズ様に全てを……ど…どうか……ミメイルに…ご命令を……くぅ…あぁぁ…」
「じゃあ…お願いよ…私以外にあなたのウイルスは与えないで………ち…ちがう…ちがうの…
 ミメイル…許可無くあなたのウィルスを与えることは許しません。たとえそれが、
 あなたの従者スウェンとサーカムであっても……」
「か、かしこまりました……クレズ様の仰せのままに………あっ…ィクぅ…」
クレズが麻由美の秘所に顔を沈め、溢れでるウィルスを舌で丁寧に溢すことなく絡めとっている姿は
あるじに奉仕する従者のようであった。
(…また……今…私は何を…)
「ミメイル、あなたのウィルスとっても美味しいわ。
 今、ミメイルが私のあるじのような気がして夢中で奉仕しちゃったもの…うふふふ」
(わからない…わからないけど…ミメイル…あなたのことが……)
「クレズ様に喜んで頂けて嬉しいです…………クレズ様……お願いが…あります」
「どうしたの、ミメイル」
「私が…私がバスターズに操られていた時のことを……教えてください」
「…どうしてそんな事が知りたいの? あなたには必要のない事でしょう」
「いえ……同じ過ちを繰り返さない為にも知っておきたいんです。
 敵の手に堕ち、操られ、不様に生きていた己の姿を……」
(『ウィルス』としての記憶の刷り込みは問題なさそうだけど…確かに、このままだと戦士としては……
 やはり、仕上げは必要のようね。優秀な戦士として働いてもらうためにも)
「…わかりました。ミメイル」
(教えてあげるわ。『本当』のことを)

クレズが紅いヘルメットを手にし、麻由美の前に立っている。
「あなたを助け出したあと、あなたの記憶を取り戻すために色々と調べてみたの。
 ウィルスの戦士としての記憶の殆どは奴等の洗脳施術で完全に消去されていたわ。
 でも、あなたは私との思い出は消されないように自分自身で心の奥底に封印していた。
 私はあなたが封印していた記憶を呼び覚ますことにした。そして…
 あなたが奴等に受けた屈辱を封印したの……ミメイルを…あなたをこれ以上、苦しめたくなかった…
 でも、その記憶もあなたのもの。あなたが必要とするのであれば………
 封印した『白石麻由美』の記憶はこのヘルメットに記録してあります……ホントにいいの……ミメイル」
無言のまま小さく頷いた麻由美の頭に、クレズは手にしていたヘルメットを被せた。
(麻由美、あなたから奪った記憶と戦士としての誇りを返してあげるわ………
 この装置で今の『記憶』を定着させた後でね)


「わ…わたしがニムダ様を……奴等に操られていたとはいえ、私は多くの仲間をこの手で…
 誇り高きウィルスの戦士として自害もせず…こんな辱めを受けて…生きていたなんて……」
「ミメイル、済んでしまった事は仕方ないわ。それに、あなたの処分は保留されています」
「な、なぜ…ですか………」
「あなたが倒したニムダはワーム総帥に反旗を翻した謀反人。
 そのニムダを討ち果たしたことをワーム総帥は高く評価されている。
 だから、ワーム総帥はあなたに名誉挽回の機会を与えて下さったの。
 わかるでしょ。総帥もあなたならバスターズを討ち果たせると期待されているのよ」
「クレズ様……わたしは…」
「あなたはウィルスの崇高な戦士。ワーム総帥のご期待に添える働きをなさい。
 今のあなたにはそれが可能なの……あなただから出来ることなの……」
(…今の…わたしだから出来ること………)
「ありがとうございます。クレズ様。バスターズは、このミメイルが必ず…」
(うふふ、いい顔になったわよ。ミメイル)
真剣な眼差しで見つめる麻由美にクレズは小さく頷いた。


Awakening to darkness -反転-



「クレズ様、従者『スウェン』『サーカム』を連れて参りました」
クレズの前に従者となった希(スウェン)と春香(サーカム)が跪き頭を下げた。
「ご苦労様、フォートナイト」
「クレズ様のご命令通り、ミメイル様にお仕えするように設定致しました。それと
 こちらが例の作戦の詳細データにございます」
「ありがとう」クレズは受け取った小型端末の画面を見つめながら微笑む。
(ニムダに感謝しなくちゃね。労せずトロイ兵を増員がきるんだから……それに…)

「う…うぅぅん………わ…わたし…」
「目が覚めたのね。ミメイル」クレズが優しく微笑みながら麻由美の顔を覗き込む。
「あ…クレズ様……わたし…どうして…………何も…何も…憶えて…」
麻由美は頬を赤らめ潤んだ瞳でクレズを見つめる。
(この様子だと過去の記憶は上手く消せたのかしら……
 それにしても、これが『ウィルス』と戦っていた戦士とは思えない変貌ぶりね)
「あなたは悪い夢を見ていたの。だから、何も気にしなくていいわ。これからはずっと一緒よ」
「はいっ、クレズ様」麻由美は身体を起こすと、クレズの腕に抱きつき笑顔をみせた。
「ミメイル、この2人をあなたにお返しするわ」
「え?…トロイ兵……ですよね…」
「2人のこと…憶えていないのね…ミメイル。この2人は…」
「待って…下さい……この子たち……」
「ミメイル様……ご記憶が…」
「その声……希さん、希さんよ。あなたが春香さんで………ちがう…何を…言ってる……
 2人は……この2人は…『従者』……私の『従者』……『スウェン』と『サーカム』」
「ミメイル様……私たちのことを……」
「スウェン、サーカム……私の命令通り、クレズ様をお守りしていたのね」
「はい、ミメイル様のご命令は絶対です」2人が声を揃える。
「ミメイル、あなたの大切な『従者』お返しするわね。2人とも、あるじのもとにお帰りなさい」
「かしこまりました。ミメイル様、何なりとご命令を」
「私の大切な『従者』スウェン、サーカム。あなたたちに会えて嬉しい…これからも宜しくね」
「ありがたきお言葉にございます」
(麻由美に植え付けた記憶…まだ不安定だけど問題はなさそうね)

「ミメイル、私はトロイ兵にする人間の捕獲に出かけてきます。あなたはもう少し休んでなさい」
「嫌…嫌です。クレズ様と離れるのは嫌です。一緒に連れて行って下さい……独りにしないで…」
 麻由美は今にも泣きだしそうな顔でクレズを見つめた。
(うふふふ。可愛い)
「ミメイル…そう言ってもらえて嬉しいけど、バスターズが現れたら戦えるの?」
「はい、バスターズは敵……クレズ様の邪魔をする敵です」
「……わかった。一緒にいらっしゃい。そのかわり、これを着けるのよ」
クレズは赤いウィルスの紋章の入った白い石のペンダントを麻由美に手渡した。
「クレズ様……これは…」
「そのペンダントの紋章に触れながら『フィザー』と唱えて御覧なさい」
「はい」麻由美はペンダントを着けてクレズに言われた通りの動作をする。
「フィザー」
ペンダントの紋章が妖しく光り、白い輝きが麻由美を包み込む。
その輝きは直ぐに収まり、白い人型が姿をあらわした。
白く輝くスーツに頭はウィルスの紋様のあるヘルメットで完全に覆われ、
腰にはベルトと細身の剣が携えられていた。
「それはあなたの新しい鎧」
「嬉しい……ありがとうございます。クレズ様。これを着けたら身体に力が…それに…」
「それに?…どうかしたの?」
「身体が…あっ…熱く……まるで…クレズ様に…」
「うふふふ、その子もミメイルの事が気に入ったみたいね。その鎧は生きているのよ」
「えっ?…生きて…いる?」
「そうよ。ミメイルが自分のあるじに相応しいと認めたから、あなたを悦ばせようとしているの。
 あなたが昂ぶれば昂ぶるほど、その子は力を与えてくれる。ミメイルなら『フィザー』を使いこなせそうね」
「『フィザー』……この子…あっ…『フィザー』って…言うんですか…」
「どう、気に入ってもらえたかしら」
「はい…とっても…はぅ…宜しくね『フィザー』……あぁぁん……気持ちイィ…」
「うふふ、顔の紋様が輝いてるわ。『フィザー』も、あなたに気に入ってもらえて悦んでいるのね」
「クレズ…様……くうぅぅ…ダメよ……そんな……」
「どうしたの? ミメイル」
「…わたしが…この姿の…イィ…ときは…くぅ…『フィザー』…とお呼び…下さ…イクぅぅぅ」
「…ミメイル……イッちゃったのね。あなたの身体が輝いているわ。
 『フィザー』は、あなたのウィルスも気に入ったみたいよ。ウィルスの白い戦士『フィザー』」
(うふふ……素敵。ニムダを倒した戦士が、今は、私の『従者』)
「この子イィです。力が…力が溢れてくる。それにとっても気分がいい……
 『フィザー』あなたにもっと…おいしいウィルスをあげる……だから…私にも…もっと……」
(ミメイルを見ているだけで…私も濡れてきて……)
この様子を見ていたクレズが、ふと、壇下に控える2人の従者に目を向けた。
トロイ兵になり快楽さえも完全にコントロールされているはずの2人が、もじもじと下半身をくねらせていた。
(この娘たちも……)
「あなたたちもご主人様のウィルスがほしいのね」
「は…はい…」2人が声を揃えて返事をする。
「ミメイル、『フィザー』と遊ぶのはそれくらいにして、スウェンとサーカムとも遊んであげなさい」
「ミメイル…様…」
「あっ…ゴメンね…あっくぅ…フィザー…また後で…お願いね…」顔の紋様が輝き麻由美が元の姿にもどる。
「ミメイル様……私たちにも……ミメイル様の…ウィルスをお与え下さい……お願いします……」
「スウェン…サーカム…」麻由美は2人の従者に近づき、そっと秘所に触れる。
「あぁっ……」
「…濡れてる…の?…」
「は…い……申し訳…ございません…」
「謝らなくてもいいの…ほら…」
跪いているスウェンを仰向けに寝かせると、その唇に吸いつきお互いの舌を絡ませ合う。
サーカムがあるじである麻由美の秘所に顔を近づけると、従者の奉仕を悟ったかのように
麻由美のスーツが覆い隠していたもう一つの口が露わになり、そこからウィルスが溢れ出した。
その溢れ出すウィルスをサーカムは零すことなく、優しく舌で絡めとってゆく。
瞬く間に、赤と黒のオブジェとなった3人が悦びの声をあげる。

(私も……我慢できない……)
「うふふ。今から人間の捕獲に出かけるのは無理みたいね。フォートナイト、作戦は明日に…」
フォートナイトを笑顔で見やったクレズは自分の目を疑った。
クレズの従者であるフォートナイトがあるじに背を向け自慰に陶酔している。
(フォートナイトが……なぜ…)
「フォート…ナイト……どうしたの…答えなさい……」
「フォートナイト、そんなところに居ないで、あなたもこっちにいらっしゃい」
クレズと麻由美の2人から同時に出された命令に、フォートナイトは迷うこと無く答えた。
「はい…ミメイル…様……」
あるじの命令にのみ忠実に従うはずの従者があるじであるクレズの命令ではなく、
その従者であるミメイルの命令に従っていた。
(し…信じ…られない……これは…いったい…どう…いう……こ…と……)
赤と黒のうねりから放たれる甘い香りがクレズの思考力を完全に麻痺させる。
(………どう…でも…いいわ……わたくしも……ほしい…)
「クレズ様も…こちらに……」
「…ええ…ミメイル…わたくしも……」
目に見えない力に支配されたクレズもまた、目の前の黒溜まりから伸びる赤い触手に絡めとられ
そのまま呑み込まれてしまった。


Awakening to darkness -従者-



「クレズ様、ニムダ基地のデータ回収、完了致しました」
1人のトロイ兵がクレズの前に跪き任務遂行の報告を行っていた。
「ご苦労様」
「クレズ様、データ回収中にニムダ基地内で侵入者を2人、捕獲しましたが如何致しましょう」
「侵入者?…2人だけ?」
「はい、捕獲したのは2人だけです」
「そう。で、その2人は、男?女? 男なら直ぐに処刑なさい」
「いえ、2人とも女です」
「話は出来るの?」
「はい。今は眠らせておりますが」
「わかりました。ここへ連れて来なさい」
「かしこまりました」
トロイ兵は立ち上がり無言のまま敬礼の姿勢をとると部屋から出て行った。

手足を椅子に拘束された裸の女がクレズの前に並べられていた。
「うっ…ううん」
「目が覚めましたか?」
クレズは麻由美にウィルスを与えながら目を覚ました女に声をかけた。
「あなた達が目を覚まさないから、この娘にイイことしてあげてたのよ。『ミメイル』もういいわよ」
「あぁぁ…くぅぅぅ…」眠ったままの麻由美が絶頂を迎えた。
「!!……ま…麻由…美…」目の前にいる人物を見て、思わずその名前を口した。
「あら、麻由美さんのお知り合い? てことはあなた達もバスターズのかたね」
「………」女はクレズから目を逸らし答えようとしなかった。
「うふふ、そのようね。あなた達の名前は? なぜ、ニムダ基地に居たの?
 『ウィルス』に関する情報収集? それとも、麻由美さんの捜索かしら」
「……麻由美さんに…何をしてるの……さっき『ミメイル』って……どう言うこと」
「あなたねぇ、質問しているのは私のほうよ………まぁいいわ
 この娘は生まれ変わったのよ。私に忠誠を誓う『従者』……特別な『従者』にね」
「…嘘……麻由美さんが…そんな……」
「嘘じゃないわ。この娘はもう、あなた達の仲間だった『白石麻由美』じゃないの。私の仲間『ミメイル』よ。
 さぁ、次はあなたが質問に答えなさい。あなた達のお名前は?」
「………」
「困った人ね………本部から面白いモノが届いているの。試してみましょうか……あなた達で」
クレズは彼女に近づきながら手に持っているモノが良く見えるように持ち直した。
それは頭部全体を覆う口の部分だけが開いている黒いマスクだった。
「い…いや…何するの……止めて…」
「これはね、人間を簡単にトロイ兵する為に開発された『帽子』。ってモノらしいけど、どうなるのかしら」
そう話しながらクレズは彼女にマスクを被せていた。
「いやぁぁ、取って、何でも話します。だから…取って…取って下さい…」
被せたマスクの顔全面に『ウィルス』の紋様が微かに浮かびあがった。
「うふふふ。もう、遅いわよ」
黒いマスクは生き物のように彼女の身体を覆いはじめ、顔の紋様が白く染まってゆく。
頭を左右に振ってもがいていた彼女の動きが次第に鈍くなっていた。
「希さん? 希さんでしょ。どうしたんですか」
希とクレズの声で、もう1人の女が目を覚ましていた。
「やっと、目が覚めたのね。丁度いいわ、あなたのお友達がトロイ兵に生まれ変わる瞬間を一緒に御覧なさい」
「あなた…誰……希さんが…トロイ兵って…」
クレズの冷やかな微笑みにそれ以上言葉がでなかった。
マスクを着けられた希の身体は半分以上が黒く染まり呼吸も荒くなっていた。
「あぁぁ…いぃ……感じる……イィの……」
「さぁ、答えなさい。あなたの名前は?」
「…希……谷山…希…うぅ…です」
「お友達の名前は?」
「…いぃぃ……ゆ…結城…春香…です」
「あなた達はニムダ基地で何をしていたの?」
「麻由美…さんの…そう…さく……です………きもち…いぃ…もっと…」
「希…さん……しっかりして…希さん」
クレズは希の全身がマスクで覆い尽くされた事を確認すると手足の拘束を解いた。
「わたしの…身体…黒くて…きれい……それに…とってもきもち…イィ」
希は黒く染まった手で自身の身体を弄り陶酔に浸っていた。
「あぁぁ…胸も…気持ちイィ…… あぁぁ…ここも…イイ…すごく感じるの…」
「希、『ウィルス』に忠誠を誓いなさい。そうすれば、もっと気持ち良くなれるわよ」
「ホ…ホント…です…か………クレズ…さま」
「試して御覧なさい」
「ダ…ダメ……希さん…しっかりして下さい……『ウィルス』なんかに負けないで…」
「無駄よ。今の希は快楽を求めることしか頭にないわ。その為ならどんなことでもするでしょうね」
「わたしは…『ウィルス』に…クレズ様に…永遠の忠誠を誓います」
忠誠を誓い終わると顔にあった白い紋様が赤く染まり、トロイ兵と同じ姿に変化した。

「ヒィィィ…イクゥゥ…イっちゃぅ……イィィ……また…イっちゃぅ…とまらない…気持ちイィ…」
希は身体を弄り、何度も絶頂を迎えては全身を激しく痙攣させていた。
「そろそろ、あなたにも『ウィルス』の一員になってもらおうかしら」
クレズの言葉を聞いた春香が拘束から逃れようと手足を動かしていた。
「い…いや……お願いします……何でも言うこと聞きます…ですから…トロイ兵だけは…」
「何でも言うこと聞くのでしょ。だったら、素直にトロイ兵になりなさい。希、この『帽子』を春香に」
「はい。クレズ様」希は揺ら揺らと立ち上がると春香の傍に近づく。
「いやぁ…来ないで…わたしは…いや…トロイ兵なんていや…止めて……」
別のモノへと変わり果てた姿で近づいて来る同僚に恐怖し声が震えていた。
「何をそんなに怯えてるの、春香。私、希よ。このマスクとっても気持ちイイのよ。
 春香も着けてみなさいよ。そして、『ウィルス』に…クレズ様に忠誠を誓うの」
涙を流し頭を左右に振る春香の頭に黒い『帽子』を被せていた。


クレズの目の前で2つの人型がお互いの身体を弄り合い官能の声を上げている。
「この『帽子』もう少し改良を加えないとダメね。これじゃ、再設定しないと使い物にならないわ。
 でもこの2人、バスターズの関係者だけあって、それなりに優秀なのよね。
 徒のトロイ兵にしておくには勿体無い気もするけど…」
クレズが2人のことを思案していると彼女の従者が部屋に入ってきた。
「クレズ様、失礼致します」
「フォートナイト、どうしたの」
「ニムダ基地から回収したデータの分析が完了致しました。これがニムダ様が実行された作戦にございます」
フォートナイトと呼ばれるトロイ兵がクレズに小型端末を手渡した。
「ご苦労様、あなたは最高の従者ね」(従者……)
「恐れ多いお言葉です」
クレズが受け取った小型端末の内容を確認する。
「役に立たないデータばかりね。まぁ、戦闘力だけが取り得のニムダらしいといえば……
 この作戦……ニムダにしては面白いこと考えたじゃない。バスターズに邪魔されて失敗に終わってるけど
 これ良いわね………フォートナイト、この作戦のこと詳しく調べて頂戴。それと
 その2人を従者にして頂戴。私のではなく『ミメイル』の従者にね。細かい設定はあとで伝えるわ」
「かしこまりました。早速、基本設定に入ります」
「ええ、お願いね」


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