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Awakening to darkness -反転-



「クレズ様、従者『スウェン』『サーカム』を連れて参りました」
クレズの前に従者となった希(スウェン)と春香(サーカム)が跪き頭を下げた。
「ご苦労様、フォートナイト」
「クレズ様のご命令通り、ミメイル様にお仕えするように設定致しました。それと
 こちらが例の作戦の詳細データにございます」
「ありがとう」クレズは受け取った小型端末の画面を見つめながら微笑む。
(ニムダに感謝しなくちゃね。労せずトロイ兵を増員がきるんだから……それに…)

「う…うぅぅん………わ…わたし…」
「目が覚めたのね。ミメイル」クレズが優しく微笑みながら麻由美の顔を覗き込む。
「あ…クレズ様……わたし…どうして…………何も…何も…憶えて…」
麻由美は頬を赤らめ潤んだ瞳でクレズを見つめる。
(この様子だと過去の記憶は上手く消せたのかしら……
 それにしても、これが『ウィルス』と戦っていた戦士とは思えない変貌ぶりね)
「あなたは悪い夢を見ていたの。だから、何も気にしなくていいわ。これからはずっと一緒よ」
「はいっ、クレズ様」麻由美は身体を起こすと、クレズの腕に抱きつき笑顔をみせた。
「ミメイル、この2人をあなたにお返しするわ」
「え?…トロイ兵……ですよね…」
「2人のこと…憶えていないのね…ミメイル。この2人は…」
「待って…下さい……この子たち……」
「ミメイル様……ご記憶が…」
「その声……希さん、希さんよ。あなたが春香さんで………ちがう…何を…言ってる……
 2人は……この2人は…『従者』……私の『従者』……『スウェン』と『サーカム』」
「ミメイル様……私たちのことを……」
「スウェン、サーカム……私の命令通り、クレズ様をお守りしていたのね」
「はい、ミメイル様のご命令は絶対です」2人が声を揃える。
「ミメイル、あなたの大切な『従者』お返しするわね。2人とも、あるじのもとにお帰りなさい」
「かしこまりました。ミメイル様、何なりとご命令を」
「私の大切な『従者』スウェン、サーカム。あなたたちに会えて嬉しい…これからも宜しくね」
「ありがたきお言葉にございます」
(麻由美に植え付けた記憶…まだ不安定だけど問題はなさそうね)

「ミメイル、私はトロイ兵にする人間の捕獲に出かけてきます。あなたはもう少し休んでなさい」
「嫌…嫌です。クレズ様と離れるのは嫌です。一緒に連れて行って下さい……独りにしないで…」
 麻由美は今にも泣きだしそうな顔でクレズを見つめた。
(うふふふ。可愛い)
「ミメイル…そう言ってもらえて嬉しいけど、バスターズが現れたら戦えるの?」
「はい、バスターズは敵……クレズ様の邪魔をする敵です」
「……わかった。一緒にいらっしゃい。そのかわり、これを着けるのよ」
クレズは赤いウィルスの紋章の入った白い石のペンダントを麻由美に手渡した。
「クレズ様……これは…」
「そのペンダントの紋章に触れながら『フィザー』と唱えて御覧なさい」
「はい」麻由美はペンダントを着けてクレズに言われた通りの動作をする。
「フィザー」
ペンダントの紋章が妖しく光り、白い輝きが麻由美を包み込む。
その輝きは直ぐに収まり、白い人型が姿をあらわした。
白く輝くスーツに頭はウィルスの紋様のあるヘルメットで完全に覆われ、
腰にはベルトと細身の剣が携えられていた。
「それはあなたの新しい鎧」
「嬉しい……ありがとうございます。クレズ様。これを着けたら身体に力が…それに…」
「それに?…どうかしたの?」
「身体が…あっ…熱く……まるで…クレズ様に…」
「うふふふ、その子もミメイルの事が気に入ったみたいね。その鎧は生きているのよ」
「えっ?…生きて…いる?」
「そうよ。ミメイルが自分のあるじに相応しいと認めたから、あなたを悦ばせようとしているの。
 あなたが昂ぶれば昂ぶるほど、その子は力を与えてくれる。ミメイルなら『フィザー』を使いこなせそうね」
「『フィザー』……この子…あっ…『フィザー』って…言うんですか…」
「どう、気に入ってもらえたかしら」
「はい…とっても…はぅ…宜しくね『フィザー』……あぁぁん……気持ちイィ…」
「うふふ、顔の紋様が輝いてるわ。『フィザー』も、あなたに気に入ってもらえて悦んでいるのね」
「クレズ…様……くうぅぅ…ダメよ……そんな……」
「どうしたの? ミメイル」
「…わたしが…この姿の…イィ…ときは…くぅ…『フィザー』…とお呼び…下さ…イクぅぅぅ」
「…ミメイル……イッちゃったのね。あなたの身体が輝いているわ。
 『フィザー』は、あなたのウィルスも気に入ったみたいよ。ウィルスの白い戦士『フィザー』」
(うふふ……素敵。ニムダを倒した戦士が、今は、私の『従者』)
「この子イィです。力が…力が溢れてくる。それにとっても気分がいい……
 『フィザー』あなたにもっと…おいしいウィルスをあげる……だから…私にも…もっと……」
(ミメイルを見ているだけで…私も濡れてきて……)
この様子を見ていたクレズが、ふと、壇下に控える2人の従者に目を向けた。
トロイ兵になり快楽さえも完全にコントロールされているはずの2人が、もじもじと下半身をくねらせていた。
(この娘たちも……)
「あなたたちもご主人様のウィルスがほしいのね」
「は…はい…」2人が声を揃えて返事をする。
「ミメイル、『フィザー』と遊ぶのはそれくらいにして、スウェンとサーカムとも遊んであげなさい」
「ミメイル…様…」
「あっ…ゴメンね…あっくぅ…フィザー…また後で…お願いね…」顔の紋様が輝き麻由美が元の姿にもどる。
「ミメイル様……私たちにも……ミメイル様の…ウィルスをお与え下さい……お願いします……」
「スウェン…サーカム…」麻由美は2人の従者に近づき、そっと秘所に触れる。
「あぁっ……」
「…濡れてる…の?…」
「は…い……申し訳…ございません…」
「謝らなくてもいいの…ほら…」
跪いているスウェンを仰向けに寝かせると、その唇に吸いつきお互いの舌を絡ませ合う。
サーカムがあるじである麻由美の秘所に顔を近づけると、従者の奉仕を悟ったかのように
麻由美のスーツが覆い隠していたもう一つの口が露わになり、そこからウィルスが溢れ出した。
その溢れ出すウィルスをサーカムは零すことなく、優しく舌で絡めとってゆく。
瞬く間に、赤と黒のオブジェとなった3人が悦びの声をあげる。

(私も……我慢できない……)
「うふふ。今から人間の捕獲に出かけるのは無理みたいね。フォートナイト、作戦は明日に…」
フォートナイトを笑顔で見やったクレズは自分の目を疑った。
クレズの従者であるフォートナイトがあるじに背を向け自慰に陶酔している。
(フォートナイトが……なぜ…)
「フォート…ナイト……どうしたの…答えなさい……」
「フォートナイト、そんなところに居ないで、あなたもこっちにいらっしゃい」
クレズと麻由美の2人から同時に出された命令に、フォートナイトは迷うこと無く答えた。
「はい…ミメイル…様……」
あるじの命令にのみ忠実に従うはずの従者があるじであるクレズの命令ではなく、
その従者であるミメイルの命令に従っていた。
(し…信じ…られない……これは…いったい…どう…いう……こ…と……)
赤と黒のうねりから放たれる甘い香りがクレズの思考力を完全に麻痺させる。
(………どう…でも…いいわ……わたくしも……ほしい…)
「クレズ様も…こちらに……」
「…ええ…ミメイル…わたくしも……」
目に見えない力に支配されたクレズもまた、目の前の黒溜まりから伸びる赤い触手に絡めとられ
そのまま呑み込まれてしまった。


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