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SHOCKER GIRLS



「ここは…」
冷たいベッドの上で目を覚ました女が、麻酔の余韻でボンヤリしている頭を軽く振り、周囲を見渡した。
手足はもちろんのこと、首と腰も金属の拘束具でベッドに固定されて身動き出来ないことを理解した女は、ムダなことは考えず、意識を失う前のことを思い出す。
「ライダーと一緒にショッカーの基地に潜入して… 私たちは誘拐された女性を探すために… ライダーと別行動に… そのあと…   そう言えば、みんなは…」
もう一度、首を左右に動かして部屋の中を見渡してみるが、それほど広くない部屋は、天井には手術室にあるような大きなライトが設置され、壁には怪しい機械が幾つも設置されて、小さなランプが不規則な点滅を繰り返しているだけだった。
「みんなも別の部屋で拘束されて…」
『目を覚ましていたのか』
女があれこれ思案していると、いつのまに現れたのか、部屋の一角に黒いレオタードにマント姿で冷酷に微笑む女が立っていた。
「あ…綾小路…律子… 私をどうする」
≪や、やめて…≫
「エッ!?」
自分を拘束している意図を問いただそうとしたとき、部屋の外から悲痛な叫び声が聞こえてきた。
「いまの声… ミツキ?」
『フフフッ…』
≪ナオ、わたしよ… みんなも…  キャアァァァァァァァァァ…≫
「ミツキッ!! 私よ、エリカよッ! どうしたのミツキッ!!」
自分の呼びかけにミツキは答えず、ただ大きな悲鳴を上げたあと沈黙してしまった。
「ミツキ…どうしたの…  それにナオって… みんなもって…  どういうことなの…」
悲鳴を残して静かになった仲間の行動が、エリカの不安を大きくする。
『フフフッ…あっちは終わったようだな。 次はお前の番だ』
悪の秘密結社ショッカーの女科学者綾小路律子がエリカの全身をなめるように見たあと、邪悪な笑みを浮かべる。
『ライダーと共に、ショッカーに楯突いただけのことはある。 十分戦力になりそうだな』
「戦力ってなによ。 それにいまの声、ミツキはどうしたの! みんなは…」
≪イッー!!≫
会話を遮るように、嫌と言うほど耳にしているショッカー戦闘員の奇声が部屋の外から聞こえてきた。
『フフフッ… 来たか。 入って準備を始めろ』
≪イッー!!≫
4人のショッカー戦闘員が1人ずつ、綾小路律子に向かって敬礼すると、2人ずつ左右に分かれて壁を背にして整列する。
「私に何を… エッ?  戦闘員…じゃない…」
部屋の中央に向かって直立不動の姿勢でたたずむショッカー戦闘員は、骨が描かれた黒のゼンタイスーツ姿ではなく、骨が描かれた艶のある黒の袖なしハイネックレオタードに、ショッカーエンブレムのベルト、膝上までのブーツと、肘までのグローブに、顔には目元を隠すショッカーエンブレムのアイマスクを装着していた。
「な…なに… 女戦闘員…   ッ!!」
そのシルエットから全員が女戦闘員であることを見てとったエリカは嫌な予感がし、たたずんで動かない女戦闘員たちを凝視する。
「う…うそ…でしょう…」
アイマスクをしているが、仲間の顔を見間違えることはない。
震える声を絞り出したエリカは4人の顔を1人ずつ見やり顔を引き攣らせる。
「ナオ…」
「カオリ…」
「ヒトミ…」
「チサト…」
エリカの呼びかけに応える者はおらず、ただ綾小路律子の命令を待ち、たたずむだけだった。
≪イッー!!≫
そして、動揺して震えるエリカに追い打ちをかけるように、同じ姿をした女戦闘員がもう1人現れる。
『フフフッ… 今日からお前はショッカー戦闘員、ショッカーガール5号だ』
≪イッー!!≫
その女戦闘員が、悲鳴を上げていたミツキであることは、顔を見なくて判断できた。
ほんの数分前、悲鳴を上げて抵抗していた仲間のミツキが、いまは憎きショッカーの戦闘服を身に着けて、忠誠を誓う敬礼の姿勢をとっている。
「ミ…ミツキ… うそ…でしょ… さっきまでは…」
カツカツと踵を鳴らして4人と一緒に並びたたずむミツキを見やるエリカの心は絶望感で押し潰されそうだった。
『フフフッ… 準備しろ』
綾小路律子の言葉に全員が奇声で答えると、女戦闘員たちが装置にセットされている注射器とマスクを取り出した。
『次はお前が、こいつをショッカー戦闘員に改造してやれ』
綾小路律子がミツキ、ショッカーガール5号に命令すると、ミツキは奇声で命令を受諾し、仲間から注射器を受け取りエリカに近づく。
「やめて…ミツキ… 私たちは仲間よ… 正義のために…ライダーと… ウッ!」
女戦闘員たちに頭を抑えつけられたエリカの首にミツキが注射針を挿入し、黒い薬剤を注入する。
「ミ…ミツキ… なにを…注射… ハゥッ…!」
ビクンと体を強張らせたエリカの顎が上がり眼球が小刻みに震える。
『フフフッ… お前に注射したのは筋力増強剤と精神操作薬だ』
ミツキは黒いショッカーのアイマスクを受け取ると、ゆっくりとエリカの顔に近づけた。
「やめて… ミツキ…  私はショッカーに… 戦闘員になりたく… ウッ…」
ほかの女戦闘員に頭を抑えられて動けないエリカの顔に、内側が細かい機械で埋め尽くされた、硬質な黒いショッカーのアイマスクが取付られる。
「イヤァァァァァァァァァ…」
悲鳴をあげて取り付けられたマスクを振り落とそうとするエリカ。
だが、マスクの額の位置から脳に向けて電子針が挿入されると、エリカの体がビクンと弾み、そのあと糸の切れた人形のように動かなくなる。
『フフフッ…』
≪イッー!!≫
綾小路律子の妖しい微笑みにミツキが敬礼で答え、壁にある装置のスイッチを入れると、エリカのベッドが怪しく明滅して、彼女を照らしているライトがブラックライトのような青紫の光に変わる。
青紫の光に照らされてエリカの唇が白く輝いて見えたが、時間が経つとそれは次第に変化して、他の女戦闘員と同じように、唇が艶のある黒に染まり、エリカの瞼がゆっくりと開いた。
蛇のような冷たい眼で一点を見つめたまま、ゆっくりと上半身を起こしたエリカは、流れるようにベッドから降り立つと、身に着けているライダーガールズのコスチュームである黒いライダースーツや下着のすべてを脱ぎ捨て、ベッドの脇に置かれていたショッカーガールの戦闘服を身に着けてゆく。
骨柄の黒いレオタード、ブーツ、ショッカーベルト、グローブとすべてを身に着けたエリカは、綾小路律子の前まで移動すると直立不動の姿勢から、ブーツの踵を鳴らして右手を斜め上に掲げるショッカーの敬礼の姿勢をとり奇声を発した。
≪イッー!!≫
『フフフッ… いまからお前はショッカーガール6号だ』
≪イッー!!≫
『フフフッ… ショッカーガールズ。 ジョーカーへの忠誠の証をみせろ』
≪イッー!!≫
冷たく微笑み踵を返した綾小路律子が部屋を後にすると、ショッカーガールズも順番に整列して後に続いた。



数時間後。
音信不通になったガールズを探すライダーの前に、ショッカーガールズに改造されたライダーガールズの6人が、ライダーの前に立ちはだかった。



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