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Awakening to darkness -従者-



「クレズ様、ニムダ基地のデータ回収、完了致しました」
1人のトロイ兵がクレズの前に跪き任務遂行の報告を行っていた。
「ご苦労様」
「クレズ様、データ回収中にニムダ基地内で侵入者を2人、捕獲しましたが如何致しましょう」
「侵入者?…2人だけ?」
「はい、捕獲したのは2人だけです」
「そう。で、その2人は、男?女? 男なら直ぐに処刑なさい」
「いえ、2人とも女です」
「話は出来るの?」
「はい。今は眠らせておりますが」
「わかりました。ここへ連れて来なさい」
「かしこまりました」
トロイ兵は立ち上がり無言のまま敬礼の姿勢をとると部屋から出て行った。

手足を椅子に拘束された裸の女がクレズの前に並べられていた。
「うっ…ううん」
「目が覚めましたか?」
クレズは麻由美にウィルスを与えながら目を覚ました女に声をかけた。
「あなた達が目を覚まさないから、この娘にイイことしてあげてたのよ。『ミメイル』もういいわよ」
「あぁぁ…くぅぅぅ…」眠ったままの麻由美が絶頂を迎えた。
「!!……ま…麻由…美…」目の前にいる人物を見て、思わずその名前を口した。
「あら、麻由美さんのお知り合い? てことはあなた達もバスターズのかたね」
「………」女はクレズから目を逸らし答えようとしなかった。
「うふふ、そのようね。あなた達の名前は? なぜ、ニムダ基地に居たの?
 『ウィルス』に関する情報収集? それとも、麻由美さんの捜索かしら」
「……麻由美さんに…何をしてるの……さっき『ミメイル』って……どう言うこと」
「あなたねぇ、質問しているのは私のほうよ………まぁいいわ
 この娘は生まれ変わったのよ。私に忠誠を誓う『従者』……特別な『従者』にね」
「…嘘……麻由美さんが…そんな……」
「嘘じゃないわ。この娘はもう、あなた達の仲間だった『白石麻由美』じゃないの。私の仲間『ミメイル』よ。
 さぁ、次はあなたが質問に答えなさい。あなた達のお名前は?」
「………」
「困った人ね………本部から面白いモノが届いているの。試してみましょうか……あなた達で」
クレズは彼女に近づきながら手に持っているモノが良く見えるように持ち直した。
それは頭部全体を覆う口の部分だけが開いている黒いマスクだった。
「い…いや…何するの……止めて…」
「これはね、人間を簡単にトロイ兵する為に開発された『帽子』。ってモノらしいけど、どうなるのかしら」
そう話しながらクレズは彼女にマスクを被せていた。
「いやぁぁ、取って、何でも話します。だから…取って…取って下さい…」
被せたマスクの顔全面に『ウィルス』の紋様が微かに浮かびあがった。
「うふふふ。もう、遅いわよ」
黒いマスクは生き物のように彼女の身体を覆いはじめ、顔の紋様が白く染まってゆく。
頭を左右に振ってもがいていた彼女の動きが次第に鈍くなっていた。
「希さん? 希さんでしょ。どうしたんですか」
希とクレズの声で、もう1人の女が目を覚ましていた。
「やっと、目が覚めたのね。丁度いいわ、あなたのお友達がトロイ兵に生まれ変わる瞬間を一緒に御覧なさい」
「あなた…誰……希さんが…トロイ兵って…」
クレズの冷やかな微笑みにそれ以上言葉がでなかった。
マスクを着けられた希の身体は半分以上が黒く染まり呼吸も荒くなっていた。
「あぁぁ…いぃ……感じる……イィの……」
「さぁ、答えなさい。あなたの名前は?」
「…希……谷山…希…うぅ…です」
「お友達の名前は?」
「…いぃぃ……ゆ…結城…春香…です」
「あなた達はニムダ基地で何をしていたの?」
「麻由美…さんの…そう…さく……です………きもち…いぃ…もっと…」
「希…さん……しっかりして…希さん」
クレズは希の全身がマスクで覆い尽くされた事を確認すると手足の拘束を解いた。
「わたしの…身体…黒くて…きれい……それに…とってもきもち…イィ」
希は黒く染まった手で自身の身体を弄り陶酔に浸っていた。
「あぁぁ…胸も…気持ちイィ…… あぁぁ…ここも…イイ…すごく感じるの…」
「希、『ウィルス』に忠誠を誓いなさい。そうすれば、もっと気持ち良くなれるわよ」
「ホ…ホント…です…か………クレズ…さま」
「試して御覧なさい」
「ダ…ダメ……希さん…しっかりして下さい……『ウィルス』なんかに負けないで…」
「無駄よ。今の希は快楽を求めることしか頭にないわ。その為ならどんなことでもするでしょうね」
「わたしは…『ウィルス』に…クレズ様に…永遠の忠誠を誓います」
忠誠を誓い終わると顔にあった白い紋様が赤く染まり、トロイ兵と同じ姿に変化した。

「ヒィィィ…イクゥゥ…イっちゃぅ……イィィ……また…イっちゃぅ…とまらない…気持ちイィ…」
希は身体を弄り、何度も絶頂を迎えては全身を激しく痙攣させていた。
「そろそろ、あなたにも『ウィルス』の一員になってもらおうかしら」
クレズの言葉を聞いた春香が拘束から逃れようと手足を動かしていた。
「い…いや……お願いします……何でも言うこと聞きます…ですから…トロイ兵だけは…」
「何でも言うこと聞くのでしょ。だったら、素直にトロイ兵になりなさい。希、この『帽子』を春香に」
「はい。クレズ様」希は揺ら揺らと立ち上がると春香の傍に近づく。
「いやぁ…来ないで…わたしは…いや…トロイ兵なんていや…止めて……」
別のモノへと変わり果てた姿で近づいて来る同僚に恐怖し声が震えていた。
「何をそんなに怯えてるの、春香。私、希よ。このマスクとっても気持ちイイのよ。
 春香も着けてみなさいよ。そして、『ウィルス』に…クレズ様に忠誠を誓うの」
涙を流し頭を左右に振る春香の頭に黒い『帽子』を被せていた。


クレズの目の前で2つの人型がお互いの身体を弄り合い官能の声を上げている。
「この『帽子』もう少し改良を加えないとダメね。これじゃ、再設定しないと使い物にならないわ。
 でもこの2人、バスターズの関係者だけあって、それなりに優秀なのよね。
 徒のトロイ兵にしておくには勿体無い気もするけど…」
クレズが2人のことを思案していると彼女の従者が部屋に入ってきた。
「クレズ様、失礼致します」
「フォートナイト、どうしたの」
「ニムダ基地から回収したデータの分析が完了致しました。これがニムダ様が実行された作戦にございます」
フォートナイトと呼ばれるトロイ兵がクレズに小型端末を手渡した。
「ご苦労様、あなたは最高の従者ね」(従者……)
「恐れ多いお言葉です」
クレズが受け取った小型端末の内容を確認する。
「役に立たないデータばかりね。まぁ、戦闘力だけが取り得のニムダらしいといえば……
 この作戦……ニムダにしては面白いこと考えたじゃない。バスターズに邪魔されて失敗に終わってるけど
 これ良いわね………フォートナイト、この作戦のこと詳しく調べて頂戴。それと
 その2人を従者にして頂戴。私のではなく『ミメイル』の従者にね。細かい設定はあとで伝えるわ」
「かしこまりました。早速、基本設定に入ります」
「ええ、お願いね」


Rouge et noir - 3 -



「と言う訳ですので『S.S.B』からお二人をお守りするためにもですね… 何より、お二人に
 対S.S.Bチームに加わって頂けると戦力も大幅に増強され、より多くの人を『S.S.B』から守ることができます」
夕方、栗栖たちと別れて下宿先の道場に戻ると、直ぐに『X-fix』のスカウトと名乗る男が現れた。
「だから、先程から申し上げていますように、エックスとかエスとかに入るつもりはありませんからお帰り下さい」
「ですが、あなたたちにその気が無くとも『S.S.B』に狙われると誘拐されて無理やり…うっ、あっ」
スカウトの男は言いかけた言葉を必死で飲み込み
「危ない、危ない、勢いで話てしまうところでした」
「気になるじゃないですか!! 誘拐されて無理やり何ですか、そこまで話したらいいじゃないですか。
 解るように、その『S.S.B』と言う組織とあなたたちの組織のことを詳しく説明して下さい」
「詳しくご説明するのは構いませんが、そうなるとメンバーに加わって頂くことになりますよ」
嬉しそうにあやめの顔を見るスカウトの男。
「はぁぁ もういいです。今日あったことは誰にも話しません。どちらの組織にも加担しません。
 それでいいでしょう、ですからお引取り下さい」
「いや、それでは困るんですけど…  わかりました、今日のところは護衛を残して引き上げます」
(なかなか手強いお嬢さんだ、ここはもう一人のお嬢さんから攻め落とすとしますか。
 報告通りの素材であれば『S.S.B』に渡すわけには行きませんからね。今日は監視を付けて撤収しましょう。
 どのような手段を使ってもこの人たちには『X-fix』のメンバーになって頂かないと私の評価も…)
眼鏡の奥で輝く怪しい目にあやめは気付いていなかった。
「ちょ、ちょっと待って!! 護衛を残してって、見るからに怪しいあの黒スーツの人たちですか?」
あやめの指差す方向に黒いスーツにサングラスの男が数名、住居の周りをうろついている。
「はい、そうですが何か?」
「何かって… ここには剣道の練習をしに子供が大勢来るんですよ。見るからに怪しいあの人たちは困ります。
 それに栗栖さんたちより強いとは思えないですけど…  栗栖さんたちのケガ、大丈夫ですか?」
「え、ええ、連戦続きでしたので心身共に疲弊していたのでしょうね。彼女たちはベストな状態で挑めなかったようです。
 特に瀬川隊員はメンタル面に…… あ、いや、すみません気にしないで下さい。ハハハハハ」
「ご心配なく、それぐらいで心は揺らぎませんから」
「はぁぁ そうですか。 参りましたねぇ」
汗を拭いながら男はいかにも困っていますという顔をしてチラチラとあやめを見ている。
「とにかく、あの護衛… わたしたちを監視するのでしたら、もっとまともな人をお願いします」
「か、か、監視だなんてとんでもない。それにまともなと言われましても… でしたら女性の隊員を護衛につけさせて頂きます。
 が、深夜は狙われる可能性が高くなりますので男性隊員とペアを組ませると言う事で宜しいでしょうか?」
「ご自由に」
「それでは大至急、別の護衛を手配します。  今日のところは私もこれで失礼しますが
 また明日、お邪魔致しますので、もう一度ゆっくり考え直して下さい」
いやらしい笑みを残してスカウトの男は車に乗り込み帰って行った。
(胡散臭い人… あの三人はホントにいまの人と同じ組織にいるのかしら…)



朝靄の中、道場近くにある神社に長い黒髪を後ろで束ね、白の胴衣を身に着けたあやめの姿があった。
大木に向かい真琴の祖父から借りた摸擬刀を構えて立っている。
(もう一度、シルヴィーさんと…)
剣を交えたシルヴィーのことが忘れられないあやめは彼女の幻と向かい合い微動だにしなかった。

 ガサッ ガサガサ  ウッ! ウゲ!

靄の中から聞こえた物音と女性の呻き声。
「誰!!」
音と声がしたほうを向いて摸擬刀を構えると靄に四つの影が映し出され、聞き覚えのある声があやめの耳に届く。
「榊山あやめ お前と話がしたくてな」
声の主が顔の見える距離まで近づいてくるとあやめは摸擬刀を鞘に収めた。
「シルヴィーさん」
もう一度会いたいと願っていた人物に再び会えた喜びにあやめは笑顔で駆け寄っていた。
「わたしもシルヴィーさんに……!?  その人たちは『X-fix』の…」
シルヴィーの背後にいる二人が自分の護衛にあたっていた『X-fix』の女性隊員を肩に担いでいることに気がついた
あやめの顔から笑顔は消え、スカウトの男の言葉が脳裏を過ぎる。
(ホントに『S.S.B』という組織は女性を誘拐しているの?)
「殺してはいない。騒がれては面倒なので眠らせただけだ」
シルヴィーが答えていると隣の人影が後ろの二人に指示したらしく、シルヴィーとその人影を残して朝靄の中に2つの影が消えた。
「ま、待って下さい、シルヴィーさん あの人たちをどうするおつもりですか」
「お前が気にすることはない。 それとも、もう『X-fix』の犬になったのか?」
「いえ、丁重にお断りしています。訳のわからない組織に入るつもりはありませんから」
「それは私が誘っても無駄と言う事か」
「はい。この光景を目撃してしまっては尚更です。シルヴィーさん『X-fix』の方から『S.S.B』と言う組織は
 女性を誘拐しているとお聞きしましたが本当だったのですね」
「だとしたらなんだ? どちらにも加担しないと言うお前には関係のないことだろう」
「いいえ、あのお二人はわたしの護衛って事になっているので黙って見過ごす訳にも行きません」
「フッ…なるほど。 ではこちらも目撃者のお前を見逃すことは出来ないな。 クィンス」
「は~いシルヴィー様 よいしょ、よいしょっと…  おもぉ~い」
自分の背丈よりも長い棒を手に立っていた人影がそれを引きずるように運んでくる。
「あやめ 私と真剣で勝負しろ。お前が勝てばあの二人を開放する。 だが、私が勝てばお前の全てを頂く」
シルヴィーの言葉にあやめはニコリと微笑み
「是非お願いします。わたしもシルヴィーさんともう一度戦いたいと思っていましたから」
あやめは躊躇うことなくシルヴィーの出した条件を承諾した。
「ちょっとぉ~ だったらボォーっとしてないで取りに来なさいよぉ~」
シルヴィーと見つめ合っているあやめをクィンスが口を尖らせ呼びつけると
あやめはムッとした表情でクィンスに近づき、奪い取るように彼女が持っていた棒を受け取った。
「なによぉ~ それが上官に… ハァ~もういいですぅ
 あなたがシルヴィー様の部下に相応しい素体か見せてもらいますぅ
 ぶっちゃけありえないと思いますけどぉ~ シルヴィー様にケガだけはさせないで下さいねぇ~」
クィンスは品定めするかのようにあやめの周りをぐるりと周ると、それ以上は何も言わずに
シルヴィーの隣に戻り、睨むようにあやめを観察し始めた。
「あなた何ですか!! 上官だの部下だのと訳のわからない…こ…と…?」
あやめはクィンスのことよりも受け取った得物に気がいった。
「これって…真剣のなぎなた」
受け取った得物の重量感と摸擬刀にはなかった刃の美しい輝き。
「言ったはずだ、真剣での勝負だと」
目を丸くしてシルヴィーを見やったあやめは苦笑して
「クスッ 無茶苦茶ですね。ホントに真剣を用意していたなんて」
受け取った得物を両手に持ち、頭上で回転させてからシルヴィーに向い構えてみせる。
「私には少し軽い気がしますが、仕方ないですね」
歓喜に満ちた顔のあやめに
「嬉しそうだな。自分の命を賭けた勝負だというのに」
「そうですね。自分でもおかしいと思います。負ければ命を失うことになるのに怖いと感じない」
「面白い奴だ」
向かい合った二人がゆっくりと距離をとると剣を構えた。



「どうしたこの程度か?」
勝負は一方的なものだった。
懐に飛び込んでくるシルヴィーの華麗な剣舞に隙はなく、あやめは反撃どころかまともに防ぐこともできず
白い胴衣に血が滲み、出血と絶え間ない攻撃に疲労の色が濃くなっていた。
「はァ…はァ……ふぅ……ふぅぅ……冗談は止めてください、シルヴィーさん」
呼吸を整え次の攻撃に備えようとするあやめ。
(まったく手が出せない… 力の差があることはわかっていたけど……悔しい…)
「お前の実力、見せてもらった。辛うじて合格と言ったところだが、やはり二人揃えなければ意味がないか」
ゆっくりと剣を構えて最後の一撃に集中力を高めるシルヴィー。
「二人? 真琴とってことですか。  馬鹿にしないで下さい!! わたしだけでも」
「フッ…ならば証明して見せてみろ」
(!! 凄い…シルヴィーさんの気迫がビリビリ伝わってくる。 でも、このまま終わるのはイヤ
 せめて一太刀…… シルヴィーさんは必ず初撃で突いてくる…それに合わせれば)
防御しながらシルヴィーの踏み込んでくるタイミングを計っていたあやめは次の一撃に全てを賭けるつもりだった。
がしかし、流れるように踏み出したシルヴィーの速さはそれまでの攻撃を遥かに上回っていた。
(は、速い…)
あやめがそう感じたとき、シルヴィーの剣はあやめの胸を貫いていた。
「…コフッ……やっぱり…ダメ…でした……くやしい……わたしも…シルヴィーさん…ように……強く…なり……」
微笑みながら涙を流したあやめの首がこくりと折れた。
「いいだろ。榊山あやめ、お前の願い叶えてやろう」



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