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Awakening to darkness - 変心 -



「みんな、私よ、麻由美よ」
「何だよ。この『ウィルス』怯えてるぜ」
「鉄平、私、麻由美よ。『ウィルス』じゃない。わからないの」
「美幸さん、あたしに殺らせてよ。麻由美なんかよりあたしのほうが強いとこ、みんなに見せたげるよ」
「泉水ちゃん…どうして……」
「泉水、そんなことわかってたわよ。でも、麻由美がわがままで言うこと聞かなかったのよ。
 ホントにあの娘、邪魔だったの。居なくなって助かったわ。ニムダに感謝しなくちゃ」
「美幸…さん……そんな…」
「そういえば、あいつどうなったのかな」
「鉄…」
「ま、いっか。あいつがどうなろうと関係ないよな」
「…平…」
「そうですよ。あの人は僕達バスターズのお荷物だったんですよ」
「それは言えてるヨ」
「淳…珍味……あなたたちまで……どうして…」
「早いとこ、この麻由美に似た『ウィルス』、『駆除』しちゃおーよ。
 あたしさぁ、こいつ見てるとなんか、ムッカツクのよねぇ」
「うそよ……そんなこと………みんなが……みんなが…わたしを…」
「じゃぁいくよ~。『 Get rid of vermin 』スラッシュフォーメーション
 うざい麻由美は消えちゃえ~。えくすたーみねーしょーん」
「…やめて………やめてぇぇ」
「大丈夫よ『ミメイル』。私が『ミメイル』を守ってあげるから」
「…あ…あなたが…どうして……それに…わたし…麻由美よ…『ミメイル』じゃない」
「なに言ってるの。あなたは『ミメイル』。私の大切な『仲間』」
「わ、わたしが…『ミメイル』…あなたの…なかま………ちがう…そんなこと…ない…そんなこと…」
「違わないわ。いい加減に目を醒ましなさい」
「ち、ちがう……こんなの…ユメ…だよ………みんな…なかま……だよね………」

麻由美が『クレズウィルス』に感染させられて1週間。
その間、クレズは絶えず自身のウィルスを麻由美に与え続け、その度に訪れる絶頂感は
麻由美の意識にクレズの存在を深く刷り込んでいた。そして、仲間との絆を断ち切る為に見せられる『夢』。
それらは確実に麻由美を別のモノへと変えていた。


クレズが腰掛けるソファーの隣りで麻由美は目を覚ました。
「目が覚めた。『ミメイル』」
(うふふ、麻由美の瞳から『光』が消えてるわ………でも、
 どうして、この名前しか思い浮かばなかったのかしら…『ミメイル』)
「ク、クレズ…」(この人…敵…よね………わからない…でも…この人…)
麻由美は敵意と戸惑いの表情を見せる。
「私のこと…憶えてるの?」
(この娘…まだ完全にはウィルスに冒されていないようね。かなりの効果は表れている見たいだけど)
「あなたはクレズ…わたしの……敵…」
「…違うわ…私はあなたの敵じゃない。私のこと…何も憶えていないの?」
切ない表情で麻由美を見つめるクレズ。
(…敵…じゃないの………)麻由美から敵意が消え戸惑いだけが残る。
「……可愛そうな『ミメイル』…奴等に昔の記憶を消されてしまったのね」
「奴等?……昔の記憶?」
「そうよ。あなたは私に全てを捧げた『ウイルス』の戦士だったの」
「わたしが…『ウィルス』の戦士…」
麻由美の言葉にクレズは小さく頷くと話を続けた。
「あの日…私とあなたが初めてバスターズと遭遇したあの日。
 バスターズの圧倒的な力の前に、私たちは瞬く間に窮地に追い込まれた。
 そして、あなたは深手を負った私を助ける為に独りで……………でも、あなたは生きていた…
 いえ、生きているとは言えなかった。私の前に現れたのは『ミメイル』の姿をした心のない操り人形。
 あなたは下劣な人間共に偽りの記憶を植え付けられ、仲間の私たちを敵だと思い込まされていた。
 そんなあなたの姿を見ているのが辛かった…助け出したかった…もう一度…あなたを抱きしめたかった…」
困惑の表情を見せる麻由美をクレズは強く抱きしめた。
「ホントにわたし…『ウィルス』の戦士…だったの………ちがう…わたしはバスターズ…ホワイトバスター
 それに…『ミメイル』じゃない……わたしは…麻由美…白石麻由美よ…」
そう呟く麻由美の唇にクレズの唇が重なる。
「うっ…ん…ん…」クレズから逃れようと抵抗する麻由美に、
「…違う…あなたは『ウィルス』の戦士『ミメイル』……私の『ミメイル』なの…思い出して…」
再び、麻由美の唇に自分の唇を重ね、口移しに自身のウィルスを流し込んでゆく。
(なん…だろう……この懐かしい感じ…………気持ちイィ…この人は…)
麻由美の瞳が虚ろになり、今度は抵抗せずにクレズに抱きついて喉を上下させていた。
(そう。もっと私を受け入れなさい。そして、私のモノになりなさい)
「どう『ミメイル』、気持ちイイ?」
「は…い……とっても…気持ち…イ………い…いや…やめて……わたしは…麻由美…ホワイト…」
「まだそんなこと言って… あなたは『ミメイル』よ」
クレズが麻由美の秘所に手を遣り優しく撫でる。
(もう、濡らしちゃって…身体は『ウィルス』の快楽に素直に反応している。あとは……)
「あぁぁぁぁぁぁ…も…もっと……きもちぃ…いい…」
(ち…がう…わた…しは…ばすた…ず……わたしは……まゆみ…ほわ…いと…)
「『ミメイル』。もっとイイことしてほしいの?」
「…はぃ」(い…や…やめて……ばす…たーず……わたし…まゆ…み…)
「じゃあ、してあげる。でも、私にもイイことしてくれるわよね? どうすればいいか……わかるわよね」
(…わた…しは…ま…ゆ…………みめいる………ワタシハ…ミメイル…クレズ…サマニ………スル…)
「ハイ…」
麻由美は腰掛けているクレズの前で両手と両膝をつき、スーツで覆われたクレズの秘所に口づけをする。
その口づけを中心とした波紋がスーツに広がり、クレズの白い肌が次第に露わになってゆく。
そして、誘うように露わになったクレズの秘唇に、麻由美は優しく唇を重ね合わせた。
「あっ…いぃぃぃ…」
(新しい…記憶の…書き込み…は…順調に…いってるみたい……この娘…)
「あくぅ…うぅぅん…」
麻由美の愛撫にクレズの白い肌がピンク色に上気していた。
(この娘…うっく…イイ…こんなに…あぁぁ…感じて…いぃっく…)
クレズウィルスに冒された麻由美の愛撫はクレズの絶頂感を満たすまでに然程の時間を要さなかった。
(だ、だめ…もう…イッちゃう…なんで…こんなに…感じるの…この娘…イイ…わぁ……)
「ミ…メイル…ご褒美よ……さぁ…お上がり…なさ…イッ…くぅ…」
「ハイ…クレズ…サマ……オオセノ…ママニ…」
(うふ…クレズ様…ですって………こんなに…感じたの…はじめて…)
麻由美はクレズの秘所から溢れ出す妖しい輝きを放つモノを恍惚の表情で喉の奥に流し込んでいる。
クレズは絶頂感に満足げな表情を見せながら
「さぁ、『ミメイル』…次は、あなたよ」
麻由美をソファーに寝かせるとクレズは甘美な感覚の残る秘所に指を潜り込ませた。
(あぁぁぅぅん…また…イッちゃいそう…)
そして秘所から取り出された今までとは異なる輝きを放つ指を麻由美の秘所にゆっくりと沈めてゆく。
(これであなたは…完全に私のモノ…)
「『ミメイル』。ずっと、イイ気持ちのままで居たいでしょ」
「…ハ…イ……あぅん…もっと…」
「じゃあ、私の『従者』になってくれる?」
その言葉を訊いた麻由美の瞳に『闇』が宿り、麻由美の心を『闇』に染めてゆく。
「ジュウ…シャ……………クレズ…サマ…ジュウシャ…スベテ…ササゲル…
 ワタシハ…クレズ…サマノ…ジュウシャ…スベテヲ…ササゲル…ジュウシャ…
 ワタシハ…クレズサマノ…ジュウシャ…スベテヲササゲル…ジュウシャ…
 ワタシハクレズサマノジュウシャ…スベテヲササゲルジュウシャ…
 私はクレズ様の従者…すべてを捧げる従者…」
言葉を繰り返すうちに麻由美の瞳に宿った『闇』はその輝きを増していた。
「クレズ様……私のすべてをクレズ様に捧げます。だから…だから…あぅっ…イクぅぅぅ…クレズさまぁぁ」
未だかつてない強烈な絶頂感に、麻由美はクレズに抱きつき快感に浸りながら深い眠りに堕ちていった。
「おやみなさい。私の可愛い『ミメイル』。生まれ変わった、あなたに会うのが待ち遠しいわ」


クレズは自分に抱きついたまま眠る麻由美をソファーに寝かせてその異変に気が付いた。
麻由美の秘所から自分のモノとは異なる輝きを放つモノが溢れ出していることに。
「まさかこれは……でも間違いない。『トロイウィルス』とも、私のモノとも違う。これは一体…」
麻由美から溢れ出す輝きを見つめて思案していたクレズはある事を思い出していた。
(そう言えば、ワーム総帥との『儀式』で覚醒した『覚醒者』が自身のウィルスを使って従者を作り出す際
 稀に『覚醒者』と同等もしくは、それ以上の能力を持った『亜種』と呼ばれる特別な従者が生まれる事が
 あるって、ワーム総帥が…………まさか、この娘がその『亜種』………麻由美…あなた…)
麻由美の寝顔を見ているクレズの表情は喜びに満ち溢れていた。


Awakening to darkness - 感染 -



麻由美は薄明るい部屋にあるベッドの上で目を覚ました。
(こ…ここは…)上体を起こし、部屋の中を見回そうとすると、
「ようこそ、『ウィルス』前線基地へ。気が付きましたか、ホワイトバスター白石麻由美さん」
この世のものとは思えない美しい声で、突然、話かけられた麻由美は寝かされていたベッドから飛び起きて
声のした方に視線を向けた。
(う、うそ、気配を全く感じなかった)
黒で統一された部屋の奥にある少し高くなった場所に声の主は座っていた。
透き通るような白い肌に黒く長い髪、黒い口紅にアイシャドー。
それだけでも妖艶な美女が光沢のある右袖と左裾のないボディスーツにウィルスの紋章入りベルト
露出している右手と左足には長めのグローブとブーツを纏った姿で豪華なソファーに身を任せていた。
「はじめまして、白石麻由美さん。私は『クレズ』と申します」
(クレズ…新しい敵……)
「あなたたちバスターズとニムダの戦い、拝見させて頂きました。
 驚きましたわ。ニムダを倒した相手が、こんなに可愛い娘だったなんてね」
(わたし…ニムダの爆発に巻き込まれて気を失ってたのね…………ブ、ブレスが………!?)
麻由美は変身ブレスレットが奪われていることよりも、自分が異様な格好をさせられていることに驚いた。
(な、なによ…これ…)
麻由美の両手両足、そして身体は人の血を浴びたように赤く染まっていた。
「あなたの服はボロボロになっていたので、それに着替えて頂きました。それと
 ブレスレットはお借りして、色々と調べさせて頂いてます。
 お返しすることはできないと思いますけど………あっ、あなたには必要なくなるわね」
(……ブレスレットが必要なくなる?………そうよね、わたしは…)
「あ、言い忘れるところでした。そのスーツには『ウィルス』に対して危害を加えることや
 自分を傷つけることができないように仕掛けが施してあるの」
(……無駄なことはするな、大人しくしていろ。ってことね…………みんな…無事なのかな…)
麻由美は抵抗することを諦め、冷静に自身の姿を見つめ直した。
身体と両腕は首から指先まで包み込むボディスーツ、足は腿の途中まであるブーツを着けられている。
頭部と腿の一部以外、全てが少し光沢のある血のような赤で覆われて、胸の中心にはウィルスのエンブレムが
鈍く輝いていた。
(この服……身に着けている感覚や拘束感が全くない………でも…なんだろう……何か不思議な…
 身体が火照るような…この感覚…)
麻由美は、はじめて体験する不思議な感覚に少し不安を抱いていた。
「とってもお似合いよ。着心地はいかが?」
「そうね。とっても悪趣味で最悪の気分ね」麻由美は初めて言葉を口にした。
「あら、残念。でも、直ぐに気に入って頂けると思うけど…」
クレズの妖しい微笑みに麻由美の不安は高まる。
(気に入る?…どう言う意味なの………???……火照りが…強く…)
麻由美は押し寄せる不思議な感覚を振り払うかのように口を開く。
「クレズ。早く、私を処刑したらどうなの」
「うふふふ……なぜ? なぜ、私の部下になる優秀な戦士を処刑する必要があるの?」
(え? 私の部下になる? 何言ってるのよ)麻由美は驚きの目でクレズを見ていた。
「あなたには感謝するわ。ニムダを葬ってくれて……ホントにありがとう。
 そのお陰で、私はワーム総帥に次ぐ権力(ちから)を手に入れる事ができましたから。
 それでね、その権力を揺ぎ無いモノにする為に、ニムダを討った戦士を私の部下にしたいの。
 美しい優秀な戦士……麻由美さん。私の『従者』になってもらえないかしら」
「ば、馬鹿なこと言わないで。私が『ウィルス』になる訳ないじゃない」
「やっぱり、簡単には『従者』になってもらえないみたいね………うふふ。でも、もう決まったことなの。
 あなたは『ウィルス』の悦びに目覚め、『ウィルス』の一員であることを誇りに思うようになるわ。
 そして、あなたは私のモノになるの。何もかも、私に捧げる忠実な『従者』に」
(この人…洗脳ウィルスを……でも、チャンス…私に洗脳ウィルスが効かないこと、この人は知らないみたい。
 上手く、洗脳されたフリをすれば脱出できるかも…………でも、この火照りは一体………熱い…)
「ふざけないで! 何をされても、あなたの『従者』になんかならない」
(か…身体が…熱い………!?…ぬ…濡れてる……私…感じて……)
「あらぁ、どうしたの、麻由美さん。震えているようですけど、怖いの? それとも、感じちゃってるの?」
(…ま…まさか……ウィルス…)
「うふふふ。あなたは、私が『従者』に求める全て…いえ、それ以上のモノを兼ね備えていたわ。
 ゴメンなさい。眠っている間に、あなたの全てを調べさせてもらったの。
 もちろん、私たちのウィルスに対する抗体のこともね……そうね、教えてあげたほうがいいわね。
 あなたの抗体、『トロイウィルス』や『ニムダウィルス』には驚くほど有効みたい………だけど、
 私の『クレズウィルス』には、何の役にも立たないわよ。どういう意味かおわかり…よね。
 あなたが身に着けているスーツにね……仕込んであるの『クレズウィルス』
 流石にバスターズね。普通の娘なら、疾っくに快楽の虜になっているのに、まだ耐えているなんて。
 でも、そろそろ限界のようね」
(こ…こいつの…余裕…そう言うこと……で…でも…洗脳…ウィルスなんかに………)
クレズはソファーから立ち上がり麻由美に近づいた。
「私のウィルス、気に入って頂けたようね…麻由美さん。あなたに『ウィルス』の悦びを教えてあげるわ」
(…熱い……体が…熱い……………み…みんな…助けて……わたし…怖い…)
麻由美は自分の身体を抱きしめるように両腕を左右にまわし、小さく震えながらその場に両膝をついた。
(…力が…入ら…ない……………気持ちイィ……とっ…ても…気持ち…イィ…)
「麻由美さんどうしたの? もう、お話もできないくらい感じてるの?」
「ぜ…ぜったいに…あなたの…おもい…どおりに…なんか…なら……ない…」
麻由美の顔は紅潮し呼吸も荒く、話もままならい状態になっていた。
(だめ……ウィルスが…こん…なに…きもち…いい…なんて…………もう…なにも……な…い…)
「あらあら、まだそんなこと言ってるの? あなたの身体はこんなに反応してるのに」
クレズが麻由美の背中に優しく手を触れる。
「あぅぅ」麻由美は体を反らせて襲いくる絶頂感に耐えていた。
「身体に触れただけでそんなに感じるの? じゃあ、これはどうかしら?」
クレズは麻由美の秘所に手を遣ると軽く力を込めた。
「ひっ…はぁうっく…………い…いぃぃぃ…」麻由美は更に体を反らせる。
「素敵な声……もう我慢しなくていいのよ。これからもっと気持ち良くしてあげる。
 そして、何もかも忘れて生まれ変わりなさい。私に全てを捧げる『従者』に」
クレズは麻由美の手に自分の手を重ねるとそのまま麻由美の秘所に誘った。
「や…やめ………て…………うくぅ…」
麻由美に抗う力はなく、焦点の合わない目で弱々しく頭を左右に振ることしかできなかった。
「もうこんなに濡れちゃってる」
「うぅぅぅ………くうぅぁぁ…あぁぁ…いぃぃぃ…感じる……も…もっと…はぅ…」
麻由美の悦びを確認したクレズは自身の手を麻由美の手から外し麻由美の様子を窺った。
その手は止まる事なく自慰を続け、更なる快楽を求めていた。
(うふふふ、そう、そうよ。もっと楽しみなさい)

貪欲に快楽を貪る麻由美の姿に先程までの戦士の面影は無かった。
(すっかり、淫れちゃって…良い感じね)
「こんなに濡らして…可愛いお口……スーツにはっきりと浮かび上がってる」
クレズがスーツに浮き出たその口を優しく撫でると麻由美の濡れた秘唇が姿を露にした。
「このまま放って置いたら、あなたは徒のトロイ兵になってしまうわ。
 あなたには私の『従者』になってもらわないとね………麻由美、私の声が聞こえる」
「…は…い……あぁっく…いぃ……」
クレズの声に麻由美は素直に頷き返事をかえす。
「今からもっと気持ち良くしてあげる」
「は…い……もっと…おねがい…」
「拒絶しないで素直に受け入れるのよ」
「は…い」
クレズが自身の秘所に手を遣り水面に指を沈めるかのようにスーツの上から2本の指を深く潜り込ませた。
「あぁ…いぃぃ…私も興奮しちゃってこんなに…濡れてるわ……うっ…くぅぅ…」
秘所から取り出されたクレズの指は妖しい輝きを放っていた。
「さぁ、受け入れなさい、麻由美。偉大なる『ウィルス』の力を…」
「は…ぃ」
クレズは妖しい輝きを放つ指をゆっくりと麻由美の秘所に潜り込ませる。
「ヒャ…イッ…イィィィ……イクぅ………うぐぅぅ…」
麻由美は身体を大きく反らせ声をあげたが、その表情は苦悩と苦痛に歪んでいた。
彼女の中に僅かに残る『光』が『闇』を拒絶する。
「うぅぅぅ…あがっ…ひぃぃ…」麻由美は頭を左右に振りながら苦痛の声を漏らしていた。
「麻由美、拒絶しちゃダメよ。何も考えないで、力を抜いて全てを受け入れなさい」
「あぁぁ…あっ…くっ…くぅ………………い…いや……」
見開かれた麻由美の瞳に残る僅かな『光』。
「ど…どうしてなの!! 全てを受け入れてイッちゃいなさい」
(何なのよ、この娘。どうして私のウィルスに、ここまで抵抗できるのよ)
「…ま…まけない……みんなが…みんながたすけに…………それまでは…ぜったいに……ま…け…な……」
 麻由美はそう呟くと深く冷たい闇へと堕ちていった。
「……そう…そうなの……そんなに仲間を信頼しているの…………でも、心配しないで、麻由美。
 直ぐに、その苦しみから助け出してあげる……仲間の私が」
意識を失った麻由美を見つめるクレズの美しい口元に妖しい笑みが零れた。


Awakening to darkness - 捕獲 -



「ニムダ、これで終わりにしてやるよ!」
「小僧が生意気な事を、貴様ら如き下等な人間に、このニムダが倒せるものか」
「言ってろ! 美幸さん、あの害虫、さっさと『駆除』して帰ろうぜ。俺が一撃で仕留めてやる!」
「鉄平、油断しないの」
(ニムダには、鉄平の『 Get rid of vermin 』を躱されている。
 あの時は、ニムダも傷ついていたから反撃されなかったけど今回は違う。
 もし、躱されたら間違いなく私たちが殺られる…ここは…)
「スラッシュでいきます。麻由美、いいわね」
ブラックバスター黒田美幸は鉄平のシュートではなく、麻由美のスラッシュを選択した。
「了解です。『 Get rid of vermin 』スラッシュ…」
「ちょ、ちょっと待って、待ってよ。美幸さん俺にやらせてよ。あいつには…」
「駄目よ」
「もう、鉄平は引っ込んでなさいよ。また、避けられたらどうするのよ」
ピンクバスター桃山泉水が鉄平と美幸の会話に首を突っ込んできた。
「うるさい。ガキは黙ってろ」
「誰がガキよ。鉄平もあたしと同級じゃないのさぁ」
「いい加減にしなさい」美幸が2人を静かにさせる。
「いきます。『 Get rid of vermin 』スラッシュフォーメーション」

バスターズの必殺技『 Get rid of vermin 』には2つのモードが用意されており、
レッドバスターのブラスターによる狙撃とホワイトバスターのソードによる斬撃。
どちらも全員の強化スーツのパワーをレッドまたはホワイトに集める必要があり、その間、
バスターズは無防備な状態になる上、発動後は強化スーツの攻撃力・防御力共に著しく低下する。
この技を使用する時は一撃で相手を仕留めなければならなかった。

(待っていたぞ、この瞬間を。今日で貴様らともお別れだ)
ニムダはフォーメーションに入ったバスターズ目掛け突進していた。
(来るの?……ま、まさか…ニムダは『 Get rid of vermin 』のウィークポイントを…)
「ダメ、みんな離れて。このままだと…」
「麻由美、私たちのことは気にしないで、あなたはニムダを倒すことだけを考えなさい」
「そうだよ。麻由美さん。もう少しでチャージが完了するんだよ」
「麻由美さんがニムダを倒してくれたら、俺たちが動けなくても問題ないじゃん」
(そんな…無理よ。至近距離で爆発に巻き込まれたらパワーダウンしたスーツでは……
 でも、今なら、今ならまだ間に合う)
「『 Extermination 』 美幸さん、いきます。みんなは少しでも後ろに下がって…」
「麻由美、駄目よ。まだ、チャージは完了してない」
「大丈夫です。必ず仕留めてみせます」
「麻由美さん、無理だよ」
突進してくるニムダに向かって光り輝くソードを手にした麻由美が走り出す。
「この一撃に全てを賭ける。ニムダ、消えてなくなりなさい」
「小娘1人に、このニムダが止められるものか」
2人が激しくぶつかり合い麻由美は数メートル押し戻されて踏み止まった。
「このニムダが…下等な人間ごときに……」
麻由美の放った突きがニムダの胸を貫いている。
(勝て…たの…)麻由美がニムダから離れようとしたとき、
「…せめて…せめて、貴様だけでも…道連れに……」
ニムダが麻由美に組み付きそのまま倒れると、激しい光と衝撃波が周囲の空間を包み込む。
その衝撃の凄まじさに残りのバスターズも吹き飛ばされていた。


この戦いの一部始終を見ていた人影があった。
「あのニムダがこうも簡単に倒されるなんて信じられません。バスターズ、私に倒せるのかしら」
そう話す顔には余裕とも思える不敵な笑みを浮かべている。
「あら?」
収まり始めた爆煙の中に倒れている人影を見つけた謎の人物がその人影に歩み寄る。
「この娘、白いスーツの……あの爆発に巻き込まれて無事だったの。凄いわねあのスーツ。
 でも、あなたにはここで死んでもらったほうが………可愛い顔……ふふふ、この娘…使えそうね」

謎の人物は従えていた兵士に気を失っている麻由美を運ぶように指示を出すとその場をあとにした。


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孫作 ( magosaku )

Author:孫作 ( magosaku )


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